天国から来た大投手 Vol.237 アメリカ編 | 六月の虫のブログ

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十一、卒業 (つづき)


 パーティーが終わると、二人はゲイの車からブランケットを三枚取ってきた。二人はゴルフコースの十八番ホール・グリーンの上に一枚敷き、互いにブランケットで体を覆った。星が美しく、ぺブルビーチにしては珍しく風がない夜だった。ゲイは看護士になるのが夢だ。大学では看護学を学び、大学院まで行くことを希望している。森次郎には、ゲイがそういうタイプの女性だということが意外だった。森次郎は勝手に、ゲイにはIT企業か証券会社が似合っていると思っていた。森次郎も将来は医師になって、ネイサンのような子供たちを助けたいと熱っぽく語った。ゲイも森次郎がスタンフォードに進学することは知っていたが、卒業したら大リーガーとしてフルタイムで活躍すると思っていた。森次郎は幸せな家庭を築くことが夢だということ、ゲイは結婚したくないけど子供は欲しいということなど、互いのことを語り合った。ゲイは森次郎に「あなたの子供が欲しいと言ったら協力してくれる?」と言って森次郎の肩に寄りかかった。森次郎は「喜んで。もし、ジュディがイエスと言えばね」とゲイの顔を覗き込んだ。

 二人はスプリンクラーの音で目を覚ました。夜明け前に水をやるのだ。二人は飛び起き、ブランケットを持ってグリーンから離れた。森次郎が「日の出は」と言いかけると、ゲイは「ローン・サイプレス・ポイントに行きましょう」と森次郎の腕をつかんだ。ローン・サイプレスは、ぺブルビーチのシンボル的な木だ。森次郎とゲイは手をつないで、ローン・サイプレスの前まで歩いた。二人は立ったまま日が昇るのを見た。森次郎が「僕は日の出ずる国から来たんだ」と言うと、「あなたの国の国旗は日の出を現しているのでしょう」とゲイが体を摺り寄せた。日が完全に海面から出ると、二人は自然に抱き合いキスをした。


 つづく・・・




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