九、インターミッション (つづき)
ネイサンは笑顔で裕香の要望に応えた。
「日本の皆さん、ボクは今最高に幸せです。モリと出会うことができて、ボクもママも本当に良かったと思っています。ねえ、ママ」と言ってメグにウインクした。「モリのおかげでタッチダウンを決めることができたんだ。野球を始めるのも楽しみにしている。ボクは、ボクの病気のおかげでこういう取材を受ける機会が多いんだけど、ボクは普通の九歳半の男の子だよ。言っとくけど、ボクは自分が可哀想だと思ったことはないよ。ボクにはこの素晴らしいママと親友のモリがいるんだもん」と二人のほうを見て微笑んだ。「もちろん、ボクが病気のことを考えないというと嘘になる。たまに、頭が割れるほど痛くなることがあるから。ママがさっき言っていたように、ボクは表彰式の後、注目されるようになって、多くの人達から励ましの手紙をもらうんだ。辛いときでも、みんなが応援してくれていると思えば、力が湧いてくる。このような取材を通して、病気と闘ったり、その他の障害と闘っている人たちに勇気を与えられたらいいな。それが、多くの人からいただく励ましの手紙へのお返しだと思っているんだけど。日本の皆さん、春には元気に野球している姿を見せるよ。もちろん、学校の勉強も頑張るよ。あまり好きでない教科もあるけど、ボクたち、小学生の仕事は勉強だからね。ねえ、お姉ちゃん」と裕香に同意を求めた。裕香は声が出ず、ただうなずくだけだった。
インタビューを終えると、取材陣は野球のシーズンが始まったら再び取材に来ると言い残し、帰国するためにサンフランシスコへ向かった。裕香は森次郎と二人きりになりたいと思ったが、その機会はなかった。森次郎は、その機会がなくてホッとしていた。浩輔は裕香の顔を見ることができて嬉しそうだった。ただ、浩輔は二ヵ月後に始まるベースボールシーズンのことと残りのバスケットボールシーズンのことで頭が一杯だった。
ロバートソン高校のバスケットボールシーズンは、満足できるものだった。州大会出場は逃したものの地区チャンピオンに輝いた。デニスとルースターが地区オールスターに選ばれた。
つづく・・・
森次郎のスピーチは、下をクリックしたら読めるよ。
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ネイサンとの出会いは、
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『天国から来た大投手』のこれまでのあらすじは、下をクリックすると読めるよ。
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