天国から来た大投手 Vol.115 アメリカ編 | 六月の虫のブログ

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七、ロバートソン高校 (つづき)


 木曜日、練習を終えて寮に戻ると、ダグラス・ホールに面会者が来ているというメモがあった。約束の時間よりも一時間早い。森次郎は、急いでシャワーを浴びると、ダグラス・ホールに向かった。記者はコーチのヤングと立ち話をしていた。ヤングは、森次郎を見つけると「ハイ、モリ。お客さんだよ」と声を掛けた。記者はヤングと握手をすると、ヤングを見送り、森次郎のほうを向いた。森次郎は、記者の質問に素直に答え、無難に取材を終えた。記者は翌日の試合を見た後、サンフランシスコに変えるとのことだった。


 美盤たちがモントレーのモーテルにチェックインしたのは、試合開始時刻の一時間前だった。二人は荷物を部屋に置くと、急いでロバートソン高校のあるぺブルビーチにに向かった。ゲートに着くと、美盤は助手席から「ロバートソン高校のフットボール・ゲームを観に来ました」とガードに告げた。するとガードは「オーケー、では、ゲームを楽しんできて」と言ってゲートを上げた。

 美盤たちがスタンドの席に着くと、ロバートソン高校、今年のホームカミング・クイーンが紹介されているところだった。アナウンサーが「今年のホームカミング・クイーン、ゲイ・ハンターさんです」と紹介した。森次郎は「へぇ、彼女がクイーンなんだ。彼女、俺と同じアメリカ史のクラスにいるよ」と隣にいるチームメイト、デニスに言った。デニスは「ちなみにキングは俺だよ」と自慢げに言った。クイーンとキングはみんなの投票で決めるらしい。チアリーダー以外からクイーンが選ばれるのは、珍しいとのことだ。デニスは前年からヴァーシティーのフットボール、バスケットボール、野球で活躍したスターだった。このデニスが野球では森次郎の相棒、キャッチャーになる。デニスとクイーンのゲイははカップルではなく、デニスの彼女はチアリーダーだった。

 ホームカミング・クイーンの紹介が終わると、チアリーダーたちが観客を盛り上げようと、パフォーマンスを始めた。彼女たちのアクロバティックでエネルギッシュなパフォーマンスが終わると、アナウンサーが相手チーム、パシフィックグローブ高校を紹介した。そのアナウンサーの声を合図に、相手チームがフィールドに駆け足で入場した。次に「みなさん、いよいよ我がロバートソン高校の選手たちです。レッツ・ゴー・パイレーツ」とアナウンスされると、観衆は総立ちで選手たちを出迎えた。


 つづく・・・



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