エピローグ
ランチにはメキシコ人のお手伝いさんが作ってくれたローストビーフ・サンドウィッチを食べた。ランチの後、ヘリントンさんも友利さんも仕事に戻ったので、私はヘリントンさんの娘、セーラと中庭にあるプールでリラックスすることにした。セーラはおませな六歳の女の子で、プールサイドでは一人前にサングラスをかけて日向ぼっこをした。彼女は話し方まで大人びいていて、プールサイドのリクライニング・チェアに座って長いブロンドヘアをブラッシングする仕草はとても六歳の子供には見えなかった。ただ、私が彼女にホースで水をかけると、彼女は子供らしくプールサイドをはしゃぎ回った。
ヘリントンさんが持ち帰ってくれたいろいろなツアーのパンフレットをもとに、翌日の火曜日と木曜日の計画を立てた。火曜日はユニヴァーサル・スタジオ、木曜日はマリンワールドとクイーン・メリー号の見物に行くことにした。
ユニヴァーサル・スタジオもマリン・ワールドも楽しかったが、やはり一番楽しかったのは水曜日にブレントと行ったディズニーランドやピーターソンさんと行った大リーグ・ゲーム、ピーターソン宅でのポーカー・ゲームだった。ヘリントンさんの勘違いがなければ、ピーターソン一家と出会うことはなかったかもしれない。ピーターソン一家とは後に私がカリフォルニアの高校に転校した後も、長く付き合うことになる。『出迎えが来ない事件』による偶然の出会いが、私に一生の友人をもたらしてくれた。
つづく・・・
ブレントと行ったディスにーランド。サングラスは、ラモーンがくれた盗品。
注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。