十六歳のアメリカ Vol.99 | 六月の虫のブログ

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二七、カーシャウ家へ (つづき)


 カーシャウさんの知り合いの結婚式に同行することになった。アメリカでの結婚式の出席は、これが初めてだった。三つ揃えのスーツを着込んで結婚式の行われる教会に向かった。この頃になると、スーツを着るのも、ネクタイを締めるのも、慣れっこになっていた。毎週日曜日、ワドリー夫妻と教会のミサに行くときと同じだ。ただ、今回はミサではなく結婚式に出席のための教会行きだ。教会の前では、両家の親戚や友人たちが互いに挨拶していた。カーシャウさんは教会の前で談笑している人たちと挨拶を交わし、私をその人たち一人一人に紹介してくれた。私たちは挨拶しながら教会の入り口へ向かってすすんだ。外が快晴で明るかったので、教会の中が非常に暗く思えた。外で談笑していた人たちも、教会の中に入ると静粛になった。

 この結婚式の中で一番印象に残ったのは、花嫁、花婿の指輪の交換でも、誓いの言葉でもなかった。それは、賛美歌としてビートルズの『レット・イット・ビー』が歌われたことだった。この日まで教会の中では伝統的な賛美歌しか聴いたことがなかったし、まさか神聖なる教会で長髪のイギリスのポップ・ミュージシャンが作った曲が聞けるとは思わなかった。確かに『レット・イット・ビー』の歌詞の中には、聖母マリアが出てくるし、歌詞の内容も宗教的といえば宗教的だ。でも、参列者の中には、教会の中でポップが歌われたことに驚いたり、不満を持った人もいたようだ。この当時は、まだ教会の中でポップ・ミュージックが演奏されるのが珍しかったらしい。しかし、よく見ると、教会の祭壇の上に飾られている十字架に張り付けになっているイエス・キリストも長髪で、ひげを生やしている。外見はキリストも、レノンやマッカートニーと変わらない。キリストも彼の生きた時代においては、ポップな存在だったのだろう。


 つづく・・・






 ビートルズの『レット・イット・ビー』レコード・アルバム。ビートルズ・ファンの私は、レコードもCDも全部持っています。このアルバムが、生まれて初めて買ったアルバムです。そう考えると、年季はいってるなあ!


注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。


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