十六歳のアメリカ Vol.84 | 六月の虫のブログ

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ニューファミリー


二五、寒い冬 (つづき)


 ワドリー家から五百メートルくらい行った村の外れに、ハーシャー高校がある。ハーシャー高校は、公立の高校だが農民の子供が多く、田舎にあるからかイーストリッジやウエストヴュー(カンカキーにある公立高校)に比べて柄は良かった。この学校のとなりに、村唯一の医者の家がある。そこの息子に私と同級生で、ハーシャー高校十一年生がいるらしく、ある週末、その家に招待された。その同級生の名前は、ドミニク・ドゥブラヴィックという。彼の両親は、共にドイツ系移民で英語もドイツ語アクセントが強い。ワドリー夫人はドゥブラヴィック先生のアクセントは聞き取るのが難しいと言っていたが、私には先生の英語はドイツ語にしか聞こえなかった。

 ドミニクは男の子五人、女の子一人の六人兄弟の三番目で、医者を目指していた。また、一つしたのピーターも医者を目指しているらしい。長男は陸軍に入隊しているらしく、兄で十二年生のジョンも高校卒業後、陸軍に入隊するつもりらしい。下から二番目のポールは、まだ三年生だが非常にしっかりしていて、日本について多くの質問をしてきた。ただ、彼には中国と日本の区別が分らないようだった。一番下の女の子は、生まれつき障害があるらしく、施設にあずけられているとのことだった。

 ドミニクもピーターもチャック・スチュワートとはタイプの違う秀才だ。やはりチャックは、典型的アメリカ人の明るいタイプの秀才だが、両親だ共に移民一世のドミニクとピーターは研究家タイプのヨーロッパ人的秀才だ。特にピーターは風貌や服装もいかにも秀才という感じがした。ブロンド・ヘアを七三に分け、銀縁のメガネをかけて、服装もワイシャツに毛糸のベストを着て決めている。ドミニクは、茶色のカーリー・ヘアで、ジーパンにスウェットとというラフな服装を好んでいるようだ。ポールもブロンド・ヘアで、いかにもわんぱく坊主という感じだ。彼は兄二人と違い、少し太っていた。これだけ外見や性格が似ていない兄弟は、そういないと思った。


 つづく・・・





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 ハーシャー高校。マクナマラ高校のスポーツでのライバル校。フットボールもバスケットボールも対ハーシャー高校戦はいつも以上に盛り上がる。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。