御伽噺や昔話には「苦労してきた正直者のお爺さんが奇跡のような
出来事が起こる」というハッピーエンドが定番だ。
残念ながら残酷なこの現実世界ではそんな奇跡は起こらない。
歳を重ねるに連れてそう思ってきた。
木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」を読んだ。
実はもう再読するのはこれで三回目くらい。
木村さんは青森のリンゴ農家。
絶対不可能とまで言われた無農薬、無肥料栽培を
成し遂げるまでを追ったドキュメンタリー。
無農薬、無肥料栽培を志した最初の七年間は
リンゴの木の害虫と病気との闘いで
収入はほとんどないなか
遂に自殺しようと思いたった木村さんの
目の前にある奇跡が訪れる。
木村さんが成し遂げられた理由を木村さん流に言うなら
「大事なことは全てリンゴに教わった」
ということなのだろう。
僕もレッスンという形で人に歌を教えていたりするが
最初の頃は上手くいかなかった。
自分がやろうと思うものを押し付けてしまっていたのだろう。
自分の底の浅さが知られてしまうのが怖かったのかもしれない。
今は
「上手くいかない原因も上手くいく種も全てその人に中にある」
と考えるようになった。
「対象となる人が全て教えてくれる」
そう思うと不思議と上手くいくようになった。
もちろん全ての努力が報われるとは限らない
そんな甘い世の中じゃないのは百も承知だが
だからといって頑張らない理由にはならない
そう思わせてくれる一冊だった。