「取れる...!」


目一杯に肘を伸ばす。相手からの後方への配球。


体重を残しつつ、腕を伸ばし身体を捻り、パワーを集中させる。


すべてはその一点でいい。


ラケットをシャトルにミートさせる。


体育館の照明に照らされて、赤白黄と色を纏ったラケットが輝く。


ARC11、最高の相棒だ。そしてスイングの軌道は綺麗に弧を描き、


シャトルは、高く、遠く。


ピキィ!!


痛烈な軋みが右肘を伝う。


それでも、スマッシュを打つ。


後悔は、ない。


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「飯野さんと対等に打ち合える日を目指して頑張ります。」


後輩からの、うれしい言葉だった。初めて誰かの壁になれた気がした。(物理的には壁だけど。)




代表を引退した3年夏。


一応の、集大成として決めた夏合宿、その試合の成績は、ボロボロ。


後から振り返ってみると、疲れなどもあって、ガス欠ということもあったのかもしれない。


「疲れた、バドミントンは、もう、いいかな」


技術的にも頭打ちかと思っていたさなかで、サークルを運営してきた自分は、


一度サークルから離れたほうがいいのかもしれないなと思っていた。


しかし、合宿から終わったあと、代表を引退した自分は、


後輩のおかげで、純粋にサークルを楽しめるようになり、もっともっとサークルが楽しくなった。


そしてバドミントンも、上手くなっている、、、気がして、ここまで続けてきた。




大学1年から、初心者として始めた競技だった。


コートの中に入ったら、経験者も初心者も関係ない。


太ってようが、デカかろうが、相手のコートにシャトルを落とせば勝ち。


単純明快で、長いラリーをすると、自分も一端のバドミントンプレーヤーになれた気がした。


スマッシュでポイントを取るより、相手のコートの隙にシャトルを配球するのが、


上手い人っぽくて、気持ちがよかった。



怪我もした。


足首をねんざしたり、右ひじを痛めたり。


その二つは今も痛みが残っていて、


右ひじは、テニス肘で、結局最後までバックハンドの打ち方は治らなかった。


あれだけいろんな人に言われてきたのに、情けない。笑



嬉しいこと、楽しいことは数えられないくらいにある。


豊島区の初心者大会で優勝できたこと、


経験者とガチンコの勝負ができたこと。



春合宿の前、ある後輩に、


「本気で勝ちに行った勝負こそ、価値があるんだと思います」と大事な言葉をもらった。


そうだよな。目の前の相手とどれだけ実力差があったって、


諦めずに自分のプレーを出し切る。


今まで自分がやってきたことを、コートで証明する。


そのためには本気でやらなきゃなー。




春合宿では、代表から賞状を頂き、初めて出席するということを、


ほめていただけだ気がして、とてもうれしかった。


後輩から頂いた、皆勤賞、すごくすごく、うれしい。


春合宿で、自分のバドミントン人生は幕を閉じた。


4年間、きっと歴代最多のサークル出席数だと思うし、


これからもそう簡単には抜かれないんじゃないかなと。


出席数に関しては、勝負をしていたわけじゃないけど、


それでも、もっと上手くなりたかったなぁと、思う。


バドミントンに浸かったこの4年間、全く後悔はしていない。


何かを犠牲にしたのかもしれないが、そんなもの、くれてやる。


楽しさや嬉しさ、悔しさ、多くを学んだ4年間だった。


またいつかどこかで、布製のラケットケースから、


愛しの相棒を取り出す時が、きっと、来る。


その時は、せめて空振りはしないように、ね。



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合宿7部作はこれにて完結!


Grand-FinaleのGとでもしておきましょうかね。笑


とりあえず、一区切りということで、


サークルの後輩たちには、どんどん上達をして、


俺を寄せ付けないくらいにはなっててほしいなぁ。笑


右ひじ、、、ちょっと休めなきゃな。笑


感謝、しながらラケットを置きます。


また、あさって、追いコンで会いましょう!


ッペ!!!!