丁度そんな事を考えていた時だ

僕らを乗せた下りの電車はカーブに差し掛かり、大きく揺れた

ショートボブはバランスを崩し、遠心力の働くままに後ろに倒れそうになる

咄嗟に右腕を伸ばし

ショートボブの体を支える


下から覗き込むように僕の顔を確認し

照れくさそうに視線を伏せた

ありがとうございます、と

小さくつぶやく


想像していたよりも僕好みの(土砂崩れていない)顔をしていたショートボブは

推測するに大学2年生くらいであろう

ちなみに僕の推測は朝の血液型占いくらい当たるのだ


きめ細やかな白い肌

少し小さめの鼻

薄く塗ったファンデーション

赤く染まる健康的な頬


自分の心拍数が上がっていくのがわかる


僕は恋に落ちた


しかし運命とは残酷なものです

僕の初恋の相手は

次の駅で降りてしまったのだ


後を追いかけて変質者と勘違いされるのは嫌なので

半べそかきながら後ろ姿を見送った


気がかりなのは

彼女が現在フリーであるのか、

本当に整形手術を受けるつもり
なのか、と言うことと

バイト先に傘を忘れて来たことだ




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