いや、ホントに好きだったのかは知らない。
同居してすぐから、なんとなくおかしい言動があった。
ボケの初期症状だったと思う。
同居して半年くらいは、ほとんど出掛けなかった。
ずーっと部屋にいて、一人で囲碁をしていた。
ばあさんも『ボケるわよ』と心配して碁会所へ行くように促した。
そして、ボチボチと出掛けるようになり、
そのうち、
『いつ死ぬかわからんから、今のうちに好きなとこに行く』と言い、婆さんを連れて、あちこちに行くようになった。
あれから10年…
まだ死にませんやん…

当時から思ってましたけどね。
そんなこと言う奴に限って、長生きするって…

ほらね、やっぱり。
痴呆と診断されてからも出掛けていたけど、婆さんが腰を痛めてから、出掛けなくなった。
婆さんいないと寂しいんよね。
で、痴呆が悪化。
骨折して、ギプス生活となり、更に痴呆も悪化。
ほとんど寝て過ごす日々。
だけど、たまーにスイッチが入る。
昔のことを思い出すのか、昔と同じように、
爺『○子(ババア)、ええ天気やなぁ。どっか行こか』
今日も言っていたらしい。
いつの間にか、ズボンを履き替えていて、ババアに怒られていた。
婆『どうして履き替えるの?どうして?どうして?』
そんなに問いただしても仕方ないやろう。
相手はボケてんだから。
婆さんの対応は、ホンマ、最悪です。
爺さん、トイレに行くフリして、玄関から出ようとした。
すぐに婆さんに見つかり、また怒られた。
スボンを履き替えたのも、お出掛けの準備やったんやろうね。
ちょいと家の周りでも散歩してあげればいいのに。
婆『どこ行くの!!今日は出掛けませんよ!!』
また怒られてる。
かわいそうに。
いつも寝てばっかりのジジイが活動的になってるんやから、それに合わせてあげればいいのになぁ。
私なら、もうちょっとエエ介護が出来ると思うよ。
でも、それをすると、またババアが私を頼りにして何もしなくなる。
元々、何もしてないけどね

私は何もしませんよ

私が何か言ったところで、ババアも素直に受け入れない。
と言うか、理解出来ていない。
昼食時に、今日の爺さんの様子を話してきた。
知ってるけどね。
婆『いつ出ていくかわからないから、やっぱり一人に出来ないわね』
だ~か~ら~

それは前から言ってるやろっ

ホント、何もわかってない!
爺さん。
悪いが、私は手出し口出ししないよ。
婆さんにやってもらえ。
なんならもっとスイッチ入れて、婆さんを困らせろっ

