カラスの天下が終る!?


■カラスの世界に異変が

 カラスの世界に異変が起きている。一つは「白いカラス」の出現だ。これは、新潟県から。
 もう一つは、都会からの報告。都市部のカラスの生息域が狭まっているという話だ。これは、オオタカや隼などの猛禽類によってカラスが追い払われていることが原因らしいという。

  


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「カラスは白い」が新潟県内で起こりがち!? アルビノが相次いで確認される謎…「変異」潜む群れ形成か・遺伝子解析で特徴一致
2023/8/21 12:00 新潟日報

県愛鳥センター紫雲寺さえずりの里で保護されていた白いカラス(京都大の古賀章彦名誉教授提供、撮影日不明)

 新潟県内で捕獲された、メラニン色素が作れず色が白い「アルビノ」と呼ばれる状態のカラス2羽の遺伝子解析から、変異の特徴一致が確認された。京都大学の古賀章彦名誉教授(進化遺伝学)は「変異遺伝子が潜む黒いカラスの群れが新潟周辺で形成され、高頻度で白い個体が生まれるのでは」と推察する。

 体が白い動物は、天敵に見つかって捕食されやすいとされる中、新潟県では1980年代以降、白いカラスが相次いで確認されているという。

https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/267601
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カラスの天下が終わる…都心制圧を目指す大型猛禽類…天敵と手を組む小鳥たち…都会鳥による「仁義なき戦い」がヤバすぎる

8/27(日) 8:04配信
現代ビジネス

Photo by Gettyimages

 東京都心の空の勢力図に異変が......。これまでヒエラルキーのトップであったカラスが猛禽類による下剋上にあっている。いったいそこではどんなドラマが繰り広げられているのか。前編記事『東京上空の勢力図に異変…オオタカが明治神宮で、ハヤブサが六本木ヒルズで繁殖…カラスが東京から消える「ヤバすぎる未来」』より続く。


 東京都心を俯瞰すると、2つの環境が混在していることが分かる。一つは皇居、明治神宮、自然教育園(港区)などの「都市緑地」。そして、もう一つは東京駅や新宿駅周辺などにある「超高層ビル群」だ。前者に定着したのが、オオタカである。具体的な個体数は判明していないが、確実にカラスの勢力に拮抗し始めているという。

 山間部や郊外では家畜を守るため、音や光を使って追い払われることもあったが、都内でそんなことは起こらない。しかも、エサとなる肉質の良い小鳥がいくらでもいる。さらに、一度巣を作った後に木が伐採されて住処を追われることもない。明治神宮のご神木が伐採されることなどあり得ないし、自然教育園にいたっては研究のために巣を保護までしてくれるからだ。

 勘違いされがちだが、人間によって山野の自然が破壊され、住処を追われてやむなく都会にやってきたのではない。むしろ、鳥にとっては都会の方が住みやすいから、積極的に進出してきているのである。

 「ハヤブサは都会の高層ビルや鉄塔、鉄骨の橋などで繁殖するようになりました。彼らは元々、海岸の岩壁などで繁殖していました。東京周辺では、江ノ島や房総半島の崖などで繁殖しています。高度差のある崖にとまり、眼下を飛ぶ野鳥を急襲して捕食します。

 都会のビル群は、ハヤブサにとっては故郷の岸壁に非常に似ており、ビルの屋上から急降下してハトなどを捕えています。新宿の高層ビル群や六本木ヒルズなどでもハヤブサが観察されています」(前出・唐沢氏)

 ハヤブサなどの侵略によってカラスの生存圏は確実に狭まっている。カラスにとってさらに厄介なのがフクロウ。そのフクロウも豊島岡墓地(文京区)などを中心に繁殖を始めている。カラスは巣で羽を休める夜に寝込みを襲われるようにもなった。つまり、日中はオオタカ、ハヤブサと戦い、夜もフクロウを相手に身を守らなければならなくなったのだ。

あとがないんじゃ、あとが


 カラスは猛禽類が近づいてくると、20~30羽の集団でやかましく鳴き立てて、体をぶつけるように飛び回って追い払う。これはモビングと呼ばれる攻撃手段だ。

 猛禽類は風切り羽が1本でも折れると、上手く飛べなくなるため、勝てる勝負でもケガを恐れて、退散していた。

 モビングが猛禽類に対する数少ない対抗策だったが、個体数が減ったことにより、カラスが単独で行動する時間が増えた。オオタカは待ち伏せして背後から襲い、ハヤブサは予想だにしない角度やタイミングで急降下してくる。カラスはなす術もなく、捕らえられてしまう。

 「猛禽類の攻勢により東京の空からカラスが排除される未来は大いにあり得る」と話すのは国立環境研究所生態リスク評価・対策研究室室長の五箇公一氏だ。

 「都会のカラスは本能的に猛禽類を嫌っています。鷹匠によるタカを使ったカラスを追い払う取り組みだってあるくらいですからね。定着した猛禽類を嫌って、都心から郊外へと逃げ出すことは十分に考えられると思います」

 そんなカラスと猛禽類の戦いの裏では、スズメなどの身近な小鳥がしたたかに生きている。たとえば、スズメはツバメの巣を横取りしたり、エサの取り合いをしたりなど、普段は対立関係にあるが、共通の天敵であるカラスが現れたときは、手を組んでモビングをし、追い払おうとする。そこに、近年都内で個体数を増やしつつあるムクドリやハクセキレイが加勢することもある。

 そんな小鳥とカラスの関係も猛禽類の出現によって変わりつつあるという。小鳥にとってカラスは今、天敵であると同時に、良き隣人にもなったからだ。

 「カラスは猛禽類を見つけると、群がって取り囲み、『カア、カア』とけたたましく鳴いて追い払おうとします。その声に気付いた小鳥や水鳥はいち早く天敵の襲来を察知し、逃げられます。また、カラスが猛禽類をモビングすると、小鳥たちもカラスと一緒になって猛禽類を追い払おうとしている様子も確認しています」(前出・唐沢氏)

したたかな「スズメ」


 最近、地面でチュンチュンと鳴きながら、跳ねるスズメを見かけなくなったという人もいるだろう。実はこれも生存戦略の一つなのだ。

 「スズメなどの小鳥は電柱にいることが多いのですが、これはオオタカやハヤブサなど街中で狩りをする猛禽類にとってはとても厄介なのです。電線は木の枝のようにしならず、かすっただけでも一発で骨折して飛べなくなってしまうからです。小鳥たちもまた都市環境を上手く利用し、天敵から逃れて暮らしているのです」(『電柱鳥類学 スズメはどこに止まってる? 』などの著書がある北海道教育大学教育学部教授の三上修氏)

 とはいえ、都市進出した猛禽類の勢いは凄まじい。繁殖により世代交代を繰り返していけば、より都市環境に適応した個体も増えていく可能性がある。

 猛禽類が都市生態系の頂点に立てば、思わぬ所で都市環境に影響が出るという。

 「カラスが姿を消せば、動物の死骸が街に溢れます。カラスは死骸や糞などを食べて分解する自然の掃除屋(スカベンジャー)だからです。また、猛禽類が住み着くと、その周辺に生息する小鳥類や水鳥が激減してしまいます」(前出・唐沢氏)

 ただ、カラスもこのままやられっぱなしというわけでもないようだ。

 「都会に生きるカラスは猛禽類という天敵のいない環境で世代交代を繰り返してきました。今はただ、見慣れていないから怖がっているだけという可能性も否定できない。

 実際、北海道の根室半島で、たった数羽のカラスがオジロワシに喧嘩をしかけて追い払う場面に何度も出会います。都会のカラスは、いったんは退いても猛禽類を見慣れてくれば、グループで猛禽類に反撃するようになり、現在の劣勢を跳ね返してしまうかもしれません」(前出・五箇氏)

 猛禽類は人間に興味を寄せず、危害を加えることもない。地上にいる我々はこの「頂上決戦」の行方をただ黙って見守るしかないのだ。

 「週刊現代」2023年7月29日・8月5日合併号より

 関連記事『【新証言】「“OSO18”以上に凶暴なヒグマ」の出現に、地元のハンターが恐怖に震えた…! 「乗っていた四駆を追いかけてきた」「幌を爪でやられた」』では、いま起きている“さらなる異変”について詳述しています。

https://gendai.media/articles/-/113702

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■異変はカラスの世界だけではない

 以上は、カラスの世界に関する異変の情報だが、異変はなにもカラスの世界に限ったことではない。多くの動物の世界にも異変が起きている。

猛禽類は人に興味を寄せない?
 昔はオオタカが人間の赤子をさらうことが多くあったようだ。ある日突然子どもがいなくなる神隠しってその可能性が大なのだ。

 また、オオタカは縄張りが広大で、個体数がさほど増えない。巣となりうる大木があっても、オオタカどうしの縄張り争いがある。個体数が増えなければ、カラスの数を減らすことにはならない。大げさな記事だと言えよう。

 また、ハヤブサが都心に増えていることはともかく、ハヤブサがカラスを襲うのだろうか。体格的にもハヤブサはカラスよりも少し大きい程度。ハヤブサの捕食はハト等の小鳥がメインだ。
 カラスが鳶を襲う姿はよく目撃される。必ずしもカラスが襲われるばかりではないと思う。都心からカラスが駆逐されるとの主張は誇張し過ぎのようである。

 都会からカラスが減少しているのは、人間のゴミをごみネットなどで覆う習慣が広がってカラスのえさ場が減少していることも原因のひとつではないかと思われる。

 ただし、鳥たちの世界の生態系が変化しつつあるのも事実のようだ。人間の世界の変化と連動しているかもしれない。よく観察する必要がありそうである。

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