海に潜む「魔物」の世界 タイタニック潜水艇「タイタン」

■海には「魔物」が住む!?

 昔から海には「魔物」が住むと言われている。今回の事故は、まさにこれを地でいったようだ。アメリカやカナダの沿岸警備隊などの懸命な捜索にも関わらず、行方不明から4日目で、最悪の結果となった。


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タイタニック潜水艇、緊急用酸素96時間で欠乏か…異音発生源は特定できず

2023/06/22 23:12読売新聞


潜水艇「タイタン」(オーシャン・ゲート社のホームページから) 【読売新聞社】

(読売新聞)

 【ニューヨーク=金子靖志】北大西洋で沈没したタイタニック号の見学ツアー中に潜水艇が消息を絶った事故は22日朝(日本時間同日夕)、潜水艇に積まれていた緊急用酸素の供給期限とされる96時間が経過した。生存に必要な酸素が欠乏するおそれがあり、乗っている5人の安否が懸念されている。米国とカナダ当局は空と海からの捜索を続行しているが、発見には至っていない。

 潜水艇は、米オーシャン・ゲート社の「タイタン」(全長6・7メートル)。18日にカナダ東部ニューファンドランド島の南約640キロ・メートル地点で消息を絶った。


https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/world/20230622-567-OYT1T50180.html

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潜水艇「タイタン」の一部を発見「全員亡くなったとみられる」

2023/06/23 04:06日テレNEWS

北大西洋に沈没した豪華客船「タイタニック号」の残骸を探索する潜水艇が消息不明となって4日が経過するなか、つい先ほど、ツアーの運営会社は「5人全員が亡くなったとみられる」とする声明を発表しました。

アメリカの沿岸警備隊は、北大西洋に沈没した豪華客船「タイタニック号」の残骸からおよそ500メートル離れた地点で、今月18日から消息不明になっていた潜水艇「タイタン」の一部を発見したと発表しました。

現場海域で捜索を行っていた無人探査機が発見したということです。

「タイタン」にはイギリスの富豪やフランスの探検家ら5人が乗っていましたが、つい先ほど、ツアーの運営会社は、「5人全員が亡くなったとみられる」とする声明を発表しました。

https://news.goo.ne.jp/article/ntv_news24/world/ntv_news24-2023062306118237.html

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■最悪の事態は避けられなかった

 この数日の懸命の探索にも関わらず、潜水艇「タイタン」は発見されず、酸素切れの時間を迎えたようだ。そして、時を経ずして沈没船「タイタニック」付近でがれきが発見されたというニュース。
 運営会社は「5人全員が死亡したと見られる」と発表した。

 この潜水艇「タイタン」は深海潜水艇としては、世界で10隻が安全を確認されているが、この「タイタン」のみが民間企業であるということで公式の安全性を確認されていないということだ。
 経年劣化も考えられるし、ある従業員は「タイタン」ののぞき窓は1300メーターまでしか耐圧性能がないと言っている。3000メーターを潜るのにこれでは不良潜水艇ではないか。
 過去に、ある富豪が乗ろうとしたが安全性に疑念を抱き、べらぼうに高額なキャンセル料を払って乗船を取りやめたケースもあったようだ。

 民間企業は「金もうけ」が目的なので、「安全性」は二の次だったわけだ。

 それに110年以上前に数千人が亡くなって沈没した豪華客船「タイタニック」を見学するツアーだということだ。
 数時間の予定のツアーに一人6500万円ものツアー料金だ。

 数千人がなくなった沈没船の現場を見学するということ自体が、何か「なくなった人々」の魂を踏みにじる行為のようで、私などはとても賛成できない。こんなところに海に潜む「魔物」の世界があるように思えてならない。

 おそらく、今後運営会社は批判にさらされるだろう。こんな事のために、乗船前に「死んでも文句を言わない」という主旨の文書にサインさせられて乗船しているというが、そんなことではないだろう。死んでしまえば「文句」は言えないのだ。あくまでも賠償責任を負わないというためだ。そんなサービスに乗ってはならないのだ。

 この「タイタン」は、いままでいちどもタイタニック周辺の海に行ったことがないようである。初めての運行だったようだ。だから、ここでの安全など確認すらできていないだろう。
 初めていく場所へのツアーに事前確認もしていないなど軽率の極みだが、どんな交通機関でも、初めての運行に「テスト」もせずいきなり乗客を載せるなどは考えられない。

 いずれにせよ、今後さまざまなことが明らかになってくるはずである。乗客達のこの間の苦難も想像を絶するが、亡くなって死体すら発見されるかどうかも分からない。

 すべてを海の「魔物」のせいにするわけにはいかない。

 だが、最近は大金持ち達が「宇宙旅行」と称して空に飛び立ったり、南極や北極のツアーに群がっているのを見ると、金持ちの傲慢さも鼻に付くばかりだ。

 日本でも北海道の観光船の沈没事故が起きてまだ行方不明の人もいる。富士山でも、あまりにも登山客が増えすぎて「不慮の事故」の恐れがあるとして、山梨県知事に登山客の抑制を訴える話も出ている。
 このような、危険のある場所への「旅行」というのは、一度考え直すべきではないだろうか。いつ何が起きるか分からないのだ。

 今回なくなった方々は、お気の毒としか言いようがない。ご冥福をお祈りする。

 私たちに多くの教訓を残してくれている。

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