新潟県の山で、痛ましい遭難 胸が痛みます
5月5日に登山に出かけた若いお父さん(37)と小学生のお子さん(7)が行方不明になり、三週間以上を経て遺体が発見されました。
コンビニで買い物をし、その時の防犯カメラの写真が最後の足取りだったようです。その写真を見ると、比較的軽装のように見えます。おそらく、コンビニで食料を買って、気軽なハイキングのつもりで登山に向かったのでしょう。 向った山は標高1,000mに満たない山です。
午後の2時に登りはじめ、6時過ぎに家族に「道に迷った。ビバークする。」旨の連絡があったそうです。
翌朝、「今から下山する。」という電話を最後に連絡が途絶えたようです。
それから約3週間。警察や各方面の懸命の捜索にもかかわらず、なかなか発見できなかったのですが、29日山頂から1.7Km地点の沢沿いの斜面で、二人の遺体がヘリによって発見されました。
想像ですが、「下山する」と言って、知らない場所なのに沢に向かって降りていってしまったのかもしれません。おそらくは、進退窮まって空腹と低い気温による低体温症でたおれたのだろうと思います。
若くて元気なはずの年齢のお父さんと、まだ小さな小学生の二人を思うと、ほんとうに胸が痛みます。
山で道に迷ったら...
あまりひとが多く入っていない山や、この季節、中腹から上は残雪が残っているような山では道に迷うことがあります。
山で迷ったら、守らなければならない鉄則があります。
絶対に下ってはいけない。
日本の山は、低山でも地形が複雑で、必ず沢があり、沢には必ず滝があります。
沢沿いに下ってゆけば人里に出る...と思いがちですが、沢沿いに下るのは、とても危険なのです。落差数メートルの滝でも、とても下れない場合が多い。沢は石や岩がごろごろして歩きにくいし、安定もしていないので危険です。雨が降っていれば上流からの鉄砲水の可能性もある。滝がなくても絶壁や急激な段差もある。
とても、歩いて下る場所ではないのが普通です。
では、どうすればいいのか。
山で迷ったときの三つの方法。
①いま来た道を引き返す。
歩いてきたところの景色や周辺の情景を記憶していればの話しです。道ではないところに迷い込んだら、これは困難かもしれません。
②尾根筋を登る。
これが、もっとも一般的に正しい方法。見晴らしのいいところまで登れば、自分が今いる位置が分かる。斜面が薮であっても、登るのが大変でも上に向って登ってゆくことです。低山で上まで樹木に覆われて見晴らしが良くない山の場合は、とにかく、上に上ってゆく。だんだん尾根は狭くなり、やがて山頂に到達するはずです。山頂まで行けば、帰還する道は見出せます。
③迷った場所から動かない。
携帯電話が通じるなら、助けをよぶ。通じなかったら、救助がくるのを待つ。家族に行く先を教えておけば、予定通りに帰ってこなかったら救助要請をしてくれるはずです。三日くらいなら水さえあれば人は死なない。辛抱強く待つことが命を救うことになります。動かないことで、体力を温存し、長期戦に備えることができます。
登山は素晴らしい...
登山は素晴らしい。大自然に触れる喜びは何ものにも変えがたい。自分の足で一歩一歩高みを目指して登ってゆき、山頂に到達した時の達成感。高所からの眺望の感動。山にしか見られない植物や動物との触れあい。 などなど山の魅力は数えきれないものです。
一度でも登山の良さを体験してしまったら、もう後戻りはできません。何度でも山に行きたくなるものです。
登山を趣味にしている人も多い。山に写真を撮りに行くひとも多い。仲間とわいわいやりながら登るグループもある。一人静かに山を楽しむ人もたくさんいる。それぞれにそれぞれの楽しみ方がある。山の魅力は無限の可能性を持っています。だから、ぜひ、日本の素晴らしい山に、お行きなさいと、奨めたくもなります。
だが、その前に、ちょっとだけ老婆心。余計なお世話を言っておかなければならないと思います。
山に入る前に...
準備を念入りに
①服装 長袖・長ズボン セーターは防寒用として必携。 足は軽登山靴で。頭には帽子。
②雨具 必携 上下セパレートの雨具。近年はゴアテックス製の蒸れない雨具が標準。
③ヘッドランブ 必携 懐中電灯は片手をふさがれるのでヘッドランプがベスト。日帰りでも。
④水筒 水は一人最低1リットル。
⑤食料 一日分 日帰りなら2食分。
緊急用食料 キャラメル一箱でも数日は持つ。昔はかつお節をザックに入れていた。
⑥地図とコンパス 国土地理院の2万5千分の一の地図がベスト。だが、登山用地図でもよい。
コンパスを使って、方角を知る、自分の位置を知る、どちらに進んだら良いかを知る...など。
⑦トイレットペーパー、ビニール袋、マッチなど必要雑貨。健康保険証のコピー。
このくらいは準備して欲しいモノです。とくに「雨具」「ヘッドランプ」「地図とコンパス」「水・食料」は必携です。
山での行動...
登山するなら、次のことは鉄則と考えて欲しいです。
早立ち、早着き
山小屋でよく言われる言葉です。山での行動の原則は「早立ち、早着き」だよと。で、どのくらい早立ちかというと...。アルプスなど3,000m級の山の場合は、日が昇る前が鉄則です。山小屋では明け方の3時、4時から行動を開始する人がほとんどです。一つには、山頂で日の出を迎えたいというのもありますが。長時間の行動を考えての「早立ち」です。
そして、早着きは、小屋には午後の3時には入れ...ということ。山で日の落ちるのは早い。夕方4時5時では遅いのです。
日帰り登山でも、樹木に覆われた山麓では夕方5時を過ぎると真っ暗になります。ですから、遅くとも朝7時8時には出発して、午後2時3時には登山口に帰り着くような歩き方をしないといけません。
道に迷ったり遭難したりしないための大原則だけ、かんたんに書きました。
雪山のシーズンや、その前後のシーズンで注意すべきこともたくさんあります。たとえば、残雪の季節に「軽アイゼン」を持っているかいないか変わってきます。ケガをした時の対策、ヒルに食われた場合の対処法やスズメバチ対策、クマ対策なども知っておく必要のあることでしょう。
学べば学んだ分だけ、その登山は豊かなものになります。
ぜひ,多く学んで、実り多い登山をしていただきたいと思います。