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PULLING PUNCHES

JOHN JONEACH の作業場




わりと簡単に何でも
口に出す方だよ普段はね

そう、いいことも
そう、わるいこともね

でも君にはあまり云えてないかな
そう、いいことをね
でも君にはわりと云っているかな
そう、わるいことはね





生まれた頃ぷよぷよだったね
でも一番抱きやすくてペタッとね
皆たれぱんだみたいって云ってたね

一度、走り出した車のドアが開いて
勢いよく転がり落ちたね

ゴロンゴロンまたうまいこと
前転してね
前転した勢いのまま速やかに
車に乗り込んだよね
何事もなかったようにね
わるいけどあの時は
本当に笑ったね

きげんがわるいと地団駄ふんで
怒ってね
今でもたまに
僕らには気付かれぬよう
小刻みにやるよね
貧乏ゆすりみたくね
皆知ってるけどね

勘にさわるところが
お互いにあったのは
多分似てるからだろうね

人一倍感受性が強くて
どしどし云うわりに
打たれ弱くてね。

そんなところは
おばあちゃんに似てるよね
だからぶつかったりしてね
今はお互い
よけ方上手くなったよね

兄弟姉妹中一番きつくてね
兄弟姉妹中一番優しくてね

お姉ちゃんが学校で
無視され続けたてたとき
帰ると君が一番の友達でね
君は何食わぬ顔で普通に振る舞って
お姉ちゃんどれだけ救われただろうね

君はたぶん何が?って
云うだろうけどね

今のお姉ちゃんがあるのは
君のおかげだね
ありがとうね

よくしゃべる口だよね
そのわりに説明下手だったりね

大筋を先に云えばいいのにね
枝葉のことをだらだらと
話すからだよね

お礼云わなきゃならないこと
なんかあったよね
なんだったか忘れたけれどね

謝らなきゃいけないこと
なんかあったよね
なんだったか覚えてないけどね

買ってあげる約束してたこと
なんかあったよね。
なんだったか思い出せないけどね

お盆に川遊び行ったよね
お盆に川遊び行ってはいけないのにね

だから君とママと二人
滝つぼでおぼれかけてね

二人助けたなんて奇跡だね
決して泳げる方ではないのにね
僕一人でよくできたなってね

君が必死でしがみついて暴れてね
あれは暴れてたんじゃなくて
泳いでるつもりだったんだね
だから僕はどんどん沈んじゃってね

あの時死ぬって思ったね
殺されてたまるかって
思ったね
だから君を突き放したんだよね

あの時放り投げてごめんね

でも僕が溺れたら
助けられないからね

君はバタバタ暴れる元気あったしね
それよりママの方がやばかったからね

誰かが投げた浮き輪を取りに
必死で泳いでね

あの時の5メートルほど
長かったことはなかったね

ママは力尽きかけてね。
僕が行く前に君が同じこと
したからだよね

それでもママは突き放された君を
ちゃんとつかんでいたよね

僕はママの胸ぐらつかんでね
ありったけの力で持ち上げてね
浮き輪つかませた時は本当に
安堵したね
今思い出しても、いや
思い出したくもないけどね

ママもだけれども
生きててくれて、ありがとうね

あの時死なれてたら
悔やんでも悔やみきれないから
残されたこっちはいい迷惑だよね

あれは震災のあった年だったんだね
そう、今思えばね

こんなトラウマありながらも
翌年もまたその翌年も
プールの練習頑張ってたよね

やらなくていいよって云ったのにね
結局相変わらず泳げないんだけどね

いつの間にか大人になってたしね
何も聞いてないし
赤飯食べた記憶ないんだよね

君がもうすぐ中学生になるとはね
blogを書く僕の横で
こんな時間にまだ勉強してるけど
いよいよあさって受験だもんね

お姉ちゃんと同じ学校に
行きたいんだよね
お姉ちゃんと一緒に通いたいんだよね
明るくなったお姉ちゃんみて嬉しくて
お姉ちゃんみたいに変わりたいって
思ったんだよね

僕らの恩師の学校を目指してくれて
本当にありがとうね

本当に、本当にありがとうね

これで謝らなきゃいけない
こと云えたよね
これで云わなきゃいけない
お礼も云えたよね

それと買わなきゃいけない
ものってあれだったね

合格できたら
USJのチケット、だったよね
お姉ちゃんと二人で行くんだよね

きっと算数の公式以上に
確実に頭に入っているよね
できることならすっかり
忘れてて欲しいんだけどね



                                       J. JONEACH