私が今までお世話になったお客様は
いずれも大企業(主に大手製造業)の
役職のある方々や優秀な技術職の方々。

私自身もずっと
大企業に所属していた関係で
どうしても大対大の取引が多かった。

しかし今、
私がご支援していきたいのは
中小企業でがんばってるお客様であり、
パートナーとしてチームを組むのも
ベンチャーやフリーランスの方々が
良いと思っている。

どうしてそう考えるのか
自分でも不思議だったが、
たぶん私の祖父の思い出が
影響しているのではないかと
思っている。

私の祖父は当時
小さな鉄工所を営んでいた。

多い時でも従業員3人ほどだったが
子供の目には
主屋の前にある工場が
とても大きく感じられた。

たぶん旋盤3台、ボール盤3台、
工作機らしいのはそのくらいで
研磨機、焼入れの炉、
その他、よくわからない機械や工具が
ところ狭しと並んでいた。

旋盤の前にはクルクルくるまった
切子が山のようになっていて
指に何度も傷を負いながらも
それらを集めて遊んでいた。

切子を光に当ててみると
金属独特の美しい輝きを放ち
まるで宝石を手に入れたような
気分に浸れた。

祖父は、小学校の工作の宿題や
玩具、家具など何でも作ってくれた。

木の板や柱なども
どうやって加工したかは知らないが
作られたものはすべてプロの作品で
とても趣味で工作したものとは
思えなかった。

祖父が亡くなると同時に
鉄工所の中は
あっという間に処分された。

大人が留守なのを見計らって
見覚えのある
取引業者の人がいきなり現れ
何かを運び出しているのを
何度か目にしたが
子供にはどうすることもできなかった。

後で祖母に聞いたら
貴重な工具やら
保管されていた名刀(長船)が
なくなっていたらしい。

その何年か後に
古い主屋と鉄工所が解体され
新しい家が建つまでの間、
鉄工所の中はがらーんとした
何もない広い空間だった。

そこで壁に染み付いた
油の匂いを嗅ぎながら
よく祖父の思い出に浸っていた。

今でも小さな工場の匂いを嗅ぐと
当時のことを思い出す。