ITの世界でPLM(Product Lifecycle Management:工業製品が発生して消却までの過程を管理する概念や方法論)という言葉が生まれて15年以上経ちます。さらに遡ると、スケッチや図面のデジタル化を目指したCADの誕生、そしてモデリングという考え方を実現する3次元CAD、それを利用したCAMや解析システムなど、コンピュータはものづくりのあり方に大きなインパクトを与えてきました。さらにPLMというキーワードが生まれてからはPDM、ERPといった統合データベースシステムと連動されるようになり、PLMと関連する、調達領域のSCM、顧客支援領域のCRMとの連動も大手企業を中心にIT結合が進んでおります。確かに表面上は、低コスト、短納期、グローバル調達が実現できる環境が整い、数値上の成果もでているとの報告もありますが、依然として中小企業の経営者、特に担当技術者の不満が解消しないのはなぜでしょうか? それは、人間を無視したIT化の弊害として、人間として尊重すべき、その人の能力や持ち味が見えなくなり、ITに駆使されるだけの存在に成り下がったと感じているからではないかと思います。そして現場では、“IT導入によって新しいことを考える時間を創出する“という当初の目標とは逆の状況が生まれていることにも目を向ける必要があると思います。確かにPLMと言う概念は理想的であり、ものづくりのあるべき姿だと思いますが、そこには、そこで働く人々のあるべき姿と一致させる必要があると考えます。BOM変換やCADデータ変換に係わる問題も、ITだけで解決しようとするのは無理がありそうです。人間とIT両者の間に横たわる“空白の領域”はまだまだ埋まってはいません。