世界的エンジニアの手になる ユーミンのベストCD
〈昭和〉の時代はちょうど〈レコードの時代〉と重なる🍩
昭和初期に蓄音機とSP盤の流通が本格化
戦後LPの販売が始まるや、世界中で夥しい数のレコードが売れ、昭和から平成に年号が変わる頃、CDの売上がレコードを抜いた
レコードの黄金期には世界的な注目度や潤沢な資金を背景に、最高の頭脳と技術がレコード製作に集まった
レコードの著名エンジニアは、拙ブログでも触れたヴァン・ゲルダーやボブ・ラドウィック、ジョージ・ピロス等々、枚挙に暇がない。
バーニー・グランドマンも、その1人
■from e-onkyo■
TOTO〈Aja〉やマイケル・ジャクソン〈スリラー〉等々を世に送った、押しも押されもせぬ世界的スターエンジニアだ
で、バニー・グランドマンのディスコグラフィをあれこれ見る内、《え”っ》とのけぞった
…《日本の恋と、ユーミンと。》だとおおおっ
いや、冷静に考えれば過去、拙ブログでも触れた太田裕美《木綿のハンカチーフ》のリマスターも行った
実は()日本に共同スタジオもある由
とすれば日本の代表的シンガーソングライター《ユーミン》のベストアルバムに携わるのも、唐突ともいえまい
(…というか、グランドマンは荒井由実やユーミンのリマスターをあまた手掛けた過去アリ…と、今ネット情報で知った)
ともあれ このCDは(勿論)ウチにある🏠
ぢゃ、やったろうやないか…LP対CD 比較検聴
まずバーニー・グランドマンのマスタリングによるCD
もう代表作〈卒業写真〉からやるしかあるまい
うわぁあぁあっ
すげぇ《高音質》🔊
洋楽LPに通じる、ぶっとい、骨格ガッシリな、かつ(CDゆえ当然)明瞭でメリハリの効いた音
ドラムヘッドでブラシのこすれる音が聴こえ、各パートの背景にオルガンが棚引く定位も見事
どうだっ…と言うかのような、堂々たる貫禄
世界水準の立派な音質に違いない
グランドマンが手がければ、ユーミンも、こうなる
こりゃ、CDの圧勝ぢゃ…と思いつつ、LP🍩
えっ。〈卒業写真〉の音、これほど好かったか
《荒井由実》のレコード再生が難しいわけ
実はユーミンまたは荒井由実(私の場合、ホボホボ荒井由実)のレコードには、ほとほと泣かされた
憧れのLPやEPを買い、いそいそとターンテーブルに乗せ、納得の音が出た…試しがない
ユーミンの〈サ行〉が破裂音になるとか、大きい音で歪むとか、そもそもユーミン始めミュージシャンやエンジニアが、どういう音を目指したのか、理解に苦しむケースが多い
荒井由実(またはユーミン)のレコードは、音が悪い
…と思いきや、(割合)納得の音が出た
思い当たるのは、最近プレーヤーとプリアンプの間に1950年当時のふるい〈レコードコンペンセイター〉をかませ、わざわざ中域に寄った太い再生音にした事。
これが〈荒井由実〉の再生にピタリとハマった
『音』は当然といえば当然だが、グランドマンの音と近い。
音離れや明瞭感、バランスはグランドマンに軍配が上がる。
が、控えめながらインパクトある鮮やかなサウンドで、主観的抽象的な言い方だが、〈魅力的な音〉
小編成で小音量に終始する曲ゆえ、ライブな音色が生かされ、好録音と相なったケースとも思われる🤔
で、次は〈ひこうき雲〉(しかないよね)
CDから始めた
…ううーーむ…しょぼっ
マスターテープに問題があるのか…とも思わす、トータルで到底、世界品質とは言い難い出来栄え
グランドマンの迷いが垣間見える心地もする。
まぁ《ひこうき雲》のLP自体、手を変え品を変え再生に挑むも、ついぞ会心の音が出ず終いだった
で、LPをかけた🍩
あっ…と思った。
音場は左右に広がるとはいえ、奥行きは狭い。
所々ハッとする生々しさもあれど、派手じゃない。
2次元的で平板だが、訥々としたサウンドが続くに連れ哀調が増す。滋味ぶかい、純文学的な音か。
どうだ…という驕慢はかけらもない。
荒井由実やミュージシャン、エンジニア達の意図も透かし見える。
これは豪華なステレオセットで聴く音楽じゃない。
たとえば地方から上京した20才とすこしの女性。
木造2階建の四畳半で、洗い髪も乾かぬまま、小さなプラスチックのプレーヤーから流れる音に耳を澄ます…。
そういう聴き手に届けたいと思い、この音は編まれた
…と思えば、年甲斐もなく、胸に迫るものがあった。
〈ひこうき雲〉は、レコードで聴きたい。