価格差《1000倍》の価値はいかに??
引き続き、MoFi〈ワンステップ〉豪華45回転2枚組LPと、〈フツーの〉CDの比較検聴を行いたい😤
昨日のビル・エヴァンス《ポートレート・イン・ジャズ》MoFi45回転2枚組では、中古販売価格の上限を4万程度と見積もった。
見積の根拠は米国ベースのレコード/CD販売サイト《discogs》。
本日はビル・エヴァンス《サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード》だが、同サイトでは本日現在26組の出品が認められ、最低価格は約7万円。《ポートレート》の上限価格に等しい
で、最高価格はと言えばスウェーデンのセラーで、実に£2,999、送料込で約41万6千円だ
米国ハイエンド・オーディオ雑誌《アブソリュート・サウンド》の《TAS スーパー LPリスト》は高音質レコードの格付で世界的に名高いが、《サンデイ…》MoFi45回転盤は見事、ランクインを果たした(《ポートレート…》はランク外)
また《ポートレート…》の発売は2019年で、《サンデイ…》は2017年。この2年の差、および音質に関する世評の高さが、(おそらく)この価格差となった(のかも)。
ともあれ転売ヤーの格好の標的となった事は疑いない
もともとMoFi社の正規通販価格はといえば、両磐とも$99,99(約1万3210円)にすぎぬ。(勿論)高価とはいえ、むしろ良心的な会社にも見える👀
またMoFi社のHPを見れば、《ポートレート…》はオリジナル・マスターテープを用いるも、デジタルファイル化の過程が挟まれるが、《サンデイ…》は完全アナログ工程のようだ。
淡々とした表記だが、そこはかとなく《どーだっ》
という荒い鼻息が聴こえる()。
今日も《40万円》のMoFi盤に対し、《OJC》
で検聴したい
《discogs》の最低販売価格を見れば現在約482円、ヤフオクでは過去に400円での落札があった
《価格差1,000倍》はやや大げさとはいえ、根拠なき表現にも非ず。ともあれ、えらい差だ
で、暑い中ディスクユニオン新宿ジャズ館に趣き、ゲットした価格は780円。でも安い
まず、OJCで《いつか王子様が♪》を聴く
もわぁ〜っと、1961年6月のNYのジャズクラブの雰囲気が立ち顕れる
エヴァンスが乾いたタッチで可憐なメロディを弾き始める。クリアで綺麗な響きの音色
このアルバムのファンならば誰でも先刻承知だが、カウンターの上でコインがころころ転がる(と思しき)音が、一段と大きい
オリジナル盤だと判別づらいが、エヴァンスがペダルを踏む音も超リアルに聴こえ、ハッとする
背後ではビル・エヴァンス・トリオに失礼()なほど大きな、客席のざわめきや食器が触れ合う音が、生々しい
すごいねぇ…クリアで細部も十全に拾った、極上のCD
千円未満で繰り返し幸せを運ぶ品など他にあるまい
さぁ、MoFi盤だ🍩
意外とCDと似た、ハッキリ・クッキリな音
で、ベースの押し出しが好い
本盤の主役はモチアンのベースともいえ、ポイントが高い
エヴァンスのピアノもエネルギッシュだ
ザックリいえば、CDの音に肉付けした、旨い音🍖
比較すれば、MoFiに軍配をあげたい
ここで(一応)《オリジナル盤》も🍩
優しい、柔らかい音
CDやMoFiのあとだと、やわにも思われるが、ベースの胴が鳴る音が自然で、美しい
地味だが滋味ぶかい()、流石…な音
60年以上も前の音盤でこの音が聴こえる《奇跡》には抗えない
…で、結論の前に、再びOJCのCDに戻らねば
というのは、OJCには〈ボーナストラック〉が4曲もある
《いつか王子様が》も2バージョンで、レコード(バージョン2)とは別のバージョン(バージョン1)を聴く
…こ、これが、すごい
鮮度がいい、ひと皮、ふた皮、むけた音
ピアノが更にピアノらしい、グランドピアノなのがわかる響き
これは他のレコードではついぞ聴けなかった音だ
ベースもドラムスも鮮烈で、ぴちぴち跳ね回る
少なくともOJCのバージョン1と比べれば、抜群に好い
殊に通常の《サンデイ…》アルバムのオリジナルリストに所収のないバージョンが素晴らしい
思うにマスターテープのオリジナルリスト曲は、あまたの後発レコードやCD製作のため、酷使されたがゆえの劣化があったかも🤔
またOJCブランドの版元ファンタジー社は1972年、《サンデイ…》を世に送ったリバーサイド社を傘下に収め、貴重なオリジナル・マスターテープも使いたい放題だった…のかも😲
とか、つらつら考えさせられる、すごい音
で、結論
1,000倍の価格差など、ある筈がない
OJCのCDを聴き始めれば、時間を忘れる。
8曲目《オール・オブ・ユー》の途中で、グラスがなにかに触れる派手な音が聴こえ、ぎくっとする
何も知らなければ、OJCのCDがイチバンという声は多い筈
でもね、MoFi〈ワンステップ〉が途方もない額で売られるのも現実 海外のネットでも〈マーケティングが上手い〉と、やや皮肉めいた評価があった。
マーケティングが上手い…か。私は(一応)日本とアメリカの大学院でマーケティングを修めた
MoFiの一連の騒動を見れば、マーケティングという言葉がどうにも浅はかに思われ、切ない