価格差100倍のアナログvsデジタル 比較検聴
海外のユーチューバーは最近、おおむね〈もうMoFiの事はお終いにしたい〉といい、終了宣言に向かいつつある。
いちおうMoFi騒動は⬇ご参照
今回の騒動で、あらためてクローズアップされたのが、《デジタル対アナログ》という一大()テーマ。
要は、CDとレコード…あるいはハイレゾとレコード…〈いったい、どっちが好いのか〉という問題。
MoFiでネックとなった点は、同社のレコードが〈高い〉という事実。殊に日本では2万円台で売られ、中古市場で更に2〜3倍の値をつける事もある
もはや歴史的遺産ともいうべきオリジナル・マスターテープにアクセス、アナログ黄金期の伝統的手法と最新の装置で誂えられた、新しい革袋に酒を入れた貴重品
しかも〈ワンステップ〉シリーズはマットな黒箱にゴールドの印字が光る、見るだに豪華な仕様
…ゆえに(私を含む)見栄先行型コレクターの支持を得、これほどの高価格で取引された訳だ🤔
で、その『音』は実際、どーなのよ
私は今日も検聴を始めた(暇なやつ)。
前々からOJC(Original Jazz Classics)シリーズのCDは高音質と思うがゆえ、ビル・エヴァンス《ポートレート・イン・ジャズ》を俎上にのせる
OJCは安い
ディスクユニオンでも、まず千円未満だ
で、MoFiの〈ワンステップ〉45回転2枚組は高い
私はディスクユニオンで24,800円で買った
■大きいほうがMoFi、小さいほうがOJC■
でも豪華仕様といかにもな高音質ゆえ、〈うむ…いい買い物だ〉と、どうにか自分を納得させられる()。
そう、MoFiの〈ワンステップ〉は〈どう…いい音でしょ〉と、おのれの美貌に自信満々な美女の趣がある。
ターンテーブルに針を落とす。クリアで歯切れのよいエヴァンスのピアノ、ゴリゴリ(…というか、ちょいコリコリに近い)モティアンのベース、格好いいモティアンのブラッシング…と、文句なし
で、リバーサイドのオリジナル盤(ステレオ 1959年)をかける🍩
そもそもエヴァンスの《ポートレート…》ステレオ盤は評判イマイチで、昔からモノラル盤の人気が高い
解像度にやや難とも思われるが、エヴァンスのタッチが勁い
またスタジオの空気感がつたわる(ような気がする)のは、完全アナログ工程ゆえの美質とも感ぜられる。
ブラインド・リスニングすれば、MoFiに軍配があがる…かも
で、中古市場では楽に4万円の値がつくMofiと比べ、実に100分の1の中古価格なOJCのCDをかける
…いや、これはこれで、好い。だいぶ好い
個々の楽器の特徴が際立ち、メリハリが効き、楽しめる、しかし少し疲れる音。が、デジタル世代ならば、むしろこの音に安心感を覚えはしまいか
100倍の価格差ねぇ…
結論
…3盤のどれを選ぶかは、完全に主観(気分)だ
何も知らなければ、3枚とも同じ値段で問題ないかも知れぬ
で、徹頭徹尾、主観(気分)の世界であるがゆえ、〈能書き〉が大事なのだ
〈オリジナル・マスターテープから完全アナログ工程で作られたレコード〉等々とあれば、マニアの喜びはいや増す
…ゆえに裏切られたと思えば、怒髪天を衝く
でもね、オリジナル・マスターテープも要はライブ演奏を磁気テープ上で〈電気信号に変換〉した代物だよね。もっと昔(エジソンの頃)は演奏を瘻管に刻む仕掛けがあったが、これも生の音を〈振動に変換〉したものだった
■from 文春オンライン■
〈アナログのデジタル変換は(言われる程)罪なのか〉…といえば、根拠薄弱な気もする
が、再び。音楽鑑賞は主観(気分)であるがゆえ、〈アナログ〉が〈デジタル〉に勝る…といえば、勝るのだ。そこに〈客観〉の差し挟まれる余地はない
どこか、非常に深い、哲学的なテーマとも思われる
いや、興味深い。興味深すぎるがゆえ、どうにもMoFiが提示したテーマから離れられずに居る
たとえば。ある人とある人を比べ、優劣をつけられるか。たとえば自分の親や子供ならば、おのずと〈身びいき〉する。〈客観的〉判断は難しい
…うむむ、なにか醒めない夢の中に居る気分
どうせ醒めない夢ならば、楽しい夢を見たい
そう、たった1枚しか知らなかったら、比較の術がなければ、私は(きっと)シンプルに幸せだった…