20世紀は、どう《定義》されるべきか。
政治や経済、社会で未曾有の変化のあった100年だが、私のような趣味人(?)には《レコードの世紀》だった。
📕 以下、おさらい。
💡1878年 トーマス・エジソンが蓄音機を発明。1988年 エミール・ベルリナーによってレコードの原型が創られる。
💡1902年 米コロンビア社がSPレコードの販売開始。
《レコードの世紀》の幕は、切って下ろされる。
💡1948年 LPレコードの販売開始(またもや米コロンビア社)。SPレコードは10年でおおむね市場から駆逐される。
💡1982年 世界に先駆けて日本でCDの販売開始。20世紀の終わりに向けて、LPも終焉の道をたどる。
ともあれ21世紀の大半において、レコードは音楽市場の王座に君臨、あまたの世界的ヒットと大スターを世に送った。
私は1962年10月8日生まれで、大したニュースのない年だが、ビートルズのデビュー・シングル《ラヴ・ミー・ドゥ》の発売(10月5日)3日後なのが、ささやかな自慢(??)。
日本ではすごい勢いでステレオセットが普及しはじめた頃で、幼い私は巨大な(…と思えた)再生装置で、ベートーヴェンやハイドンを聴かされて育った。クラシック音楽好きの父親の影響で、ミシャ・エルマンのバイオリン名曲集などを好む、おっとりとした子供だった(と思う…)。
が、中学2年生のとき派手な反抗期を迎え、ビートルズに傾倒。反抗期の勃発が先か、ビートルズの聴き始めが先か、おぼえていない。
初めて聴いたレコードが、《アビーロード》だったのは間違いない。わが家で唯一の非クラシック音楽LPだった。おそらくは父が「とりあえず一枚」買い、聴いてみたけど結局わからないで放置してあった代物だ。
この1枚が、息子を狂わせた。
最初は何がいいのか、皆目わからなかった。父が放置したのも無理はないと思った。が、「歯をくいしばって」聴き続けた。NHKのテレビ番組「中学生日記」で、同アルバムの《ヒア・カムズ・ザ・サン》が流れ、「あ、あの曲じゃないの💡」と思い、私の中で何かが、柔らかく溶けだした。
《ヒア・カムズ・ザ・サン》……いい曲のような気がしたが、その頃も今も、本当にいい曲なのか、わかりかねている。出色の出来に聴こえるのは、アレンジとアンサンブルのせいでは…という疑念がぬぐえない。
そのうち、中学生のもてあますエネルギーとガッツに、《オー・ダーリン》がフィットしはじめた。あの夏、汗だくになって、この一曲を聴きつづけた。🎵ぴとぴとぴと…🎵 というギターのエンディングに至れば、そのたび燃え尽きた。
そして《サムシング》《ゴールデン・スランバー》……。
これらも「アレンジとアンサンブルのせい」疑念(?)がつきまとうが、いずれにせよ、中学生はレコード鑑賞に没頭。
《ミッシェル》の♪I needs you, I needs you♪ を、♪やきにく〜, やきにく〜♪と、♪I wants you, I wants you♪を、♪おまんじゅ, おまんじゅ♪と揶揄してバカにする両親と、ガチで戦ったものだ(汗)。
こうして、わがレコード人生は始まった。
多感な日々は、20世紀とレコードと共にあった。
20世紀末、CDは我が家のLPを完全に追い払い、皮肉なことに私の音楽熱もしだいに冷めた。
21世紀に入って13年目の夏。
ふとした出来心で、ヤフオクで中古レコードプレーヤーを落札(1万円程度)。《ディスクユニオン新宿ロック館》に赴き、最初のLPを買い求めた。《アビーロード》だった。
この一枚が、中年男を狂わせた🔥