やっと京都の生活から解放されて
のんびりと自分のペースを戻しつつある頃だった。


特に仕事もなかった俺はよく空きレッスン室で1人ダンスを踊る事が多かった。

踊っている間は無になれる。
その時間が心地よくてひたすら鏡の前で踊る。



ひたすら踊った後の少しの休憩。
トイレに行こうと部屋を出ると隣のレッスン室の明かりが少しだけ空いてるドアから漏れていた。


時間は21時。
俺以外のジュニアがいる事なんてない時間。

誰だ?

そっとその隙間から覗くと小さな男の子が不格好ながらも、一生懸命踊っている。

同じステップを何回も何回も繰り返すが、同じ所でつまづいてしまう。
それでもまた前を向いて、同じステップを繰り返す。


『ふーん………』


遊び半分でやってる連中も多い中、残ってまでやるなんて珍しい奴だと興味をもった。


『そのタイミングが違うんだよ』


気づけば声を掛けていた。












「り~~~~だぁ~~~~」


舌っ足らずな甘い声で俺の名前を呼んで、甘えてくる可愛い奴。


いつも何事にも努力を惜しまず向かい合う姿はあの時と変わらない。


そんな姿も好きだけど、こうやって末っ子全開で俺の腕に絡みつく姿のも好きなんだよな。


これからもたくさん甘えてくれっ!

なんなら恋人になってやってもいいんだからなっ💙