ハラハラと床に落ちる髪の毛

何年ぶりだろう
この瞳を晒すのは




「その綺麗な瞳でいろんな物を見てこい」


瞳を隠すように前髪が長めだった
ずっとずっと『レイ』でいる時も
智と一緒に住み始めても


渡航の前日、智が器用に俺の前髪をカットしてくれた


「うん、やっぱり綺麗だな」


仕上げにわしゃわしゃと頭を撫でられて
急に恥ずかしくなって目線を逸らしてしまった


「ありがと……」

呟やく様にしか伝えられない感謝の気持ち
それでも智はちゃんと拾ってくれる


「今日は一緒に寝るぞっ!」

「えっ?」


戸惑う俺を構わす自室に連れ込んで
その夜は智の温もりに包まれて良く眠れた