「うーん、雨だなぁ」


クランクアップに向けて、慌ただしい毎日を過ごしている最近

慌ただしくても、息のあったスタッフや共演者の方と過ごす時間は充実していて、

『松本潤』

を感じられるその時間が心地よい




でも、やっぱり心の奥底では

『嵐の松本潤』

が、無性に恋しくなる





撮影の合間の休日、七夕だっていうのにしとしとと降る雨が更に恋しさを増幅させる気がする


1年に1度

この日にしか会えない2人のように

いつの間にか会わない事が当たり前になっていくんじゃないかとどんよりした空に比例するかのように、俺の心もどんよりしてくる



「いけない、いけない」

落ちそうになる気持ちに飲み込まれないように、目の前の事に集中する




久しぶりのまる1日のオフ

忙しくて出来なかった家の事をせっせとこなす

溜まりがちになってしまう洗濯や掃除、常備菜やスムージーの冷凍パック作り

タッパーに詰めて加熱時間をメモした付箋を貼っておく



一緒の仕事がない今、翔くんともすれ違いの生活

忙しくしていると食生活が疎かになりがちな彼の為、休みの日にこうやって冷蔵庫の中身を補充するのが当たり前になった

2人分の洗濯物も片付けて、今日も忙しくしている翔くんの事を思う


「今日も遅いって言ってたよな」


すっかり外は夜の空気に包まれて、それでもしとしとと降る雨は止まない


雲の上は晴れてるはずだから、2人は会えたかな?

少しだけベランダの窓を開けて空を見上げる

雨はまだ降っているけど、雲の切れ間から明るい空が見えてきた





「ただいま」


外気に晒されて冷えた背中が暖かく包み込まれる


「し、翔くんっ?」

確か今日もてっぺんは超えるなんて言ってたはず


「織姫と彦星が会ってるのに、俺たちが会えないなんて悔しいじゃん」

振り返って視界に入った彼のドヤ顔


「ふふっ……」

「なんだよ、嬉しくないのかよ?」

「嬉しよ……すっごく嬉しい……」

「……そっか」


ロマンチストの欠片もない翔くんが、織姫と彦星なんて………


「俺って愛されてるよね」

「あぁ、愛しちゃってるからな」

「ふふっ」


ゆっくりと向きを変えてその暖かい胸に包まれる


「俺の愛も冷蔵庫にたっぷり詰めてあるからね」


「やったね!」 


今頃、織姫と彦星もこうやって抱き合って愛を囁きあっているかな?