退院してからのしょおくんは凄かった


まずは俺の親に挨拶をすると言い始め、サラッと両親の前で一緒に暮らす事の了承を得た


それが退院して1週間目の事


次に事務所の社長に挨拶をすると言い、しょおくんの事務所の社長も連れて、うちの事務所へ


社長は薄々感じていたみたいで、あまり驚く事もなく、しょおくんに「潤を頼む」と頭まで下げてくれた

社長同士、同じ業界で知らないわけではなかったが、実際会うのは初めてだったのだが、なぜか意気投合して俺たちそっちのけで話が弾んでいた



その間にも、かかりつけの病院の診察に行く時には付いてきてくれて、それこそ取材のように先生に俺の障害のこと、薬のこと、それはこと細かくメモまで録っていた

最後には先生の連絡先を教えて欲しいと先生に訴え始め、しょおくんの気迫に押された先生は俺も知らなかったプライベートな番号を教えていた



そして退院から3か月

あっという間に引っ越しも終わり、同棲生活が無事スタートした



「潤、俺、仕事行くからな」


「……うん……ごめっ……


退院したからといって俺の精神状態がすぐに安定するはずもなく、昨日も魘されては起きてを繰り返して、最終的には薬に頼らざるおえなかった


「何かあったらすぐに鳴らせよ」


そう言って手元にスマホを置いていってくれる




しばらくの間、薬を飲んだ後の独特の眠気に逆らう事なく瞼を閉じていた



すっきりとまではいかないが、やっと重い瞼が上がった時にはすでにお昼を過ぎていた


ベッドの上で軽くストレッチをして、スマホを見るとLINEが数件
その中にはしょおくんからのもあった

ベッドサイドにある水を飲みながらスクロールして、しょおくんの名前をタップする



『やっと起きれたよ。
今朝は一緒にご飯食べられなくてごめんね。』



すぐに既読にはならなくて、仕事中かな?としょおくんのスケジュールを思い出す


『今から事務所に行ってきます』


既読にはならないけど、事務所に行く事を報告してから家を出た