―――――『恋する口唇』新色でました
「はいっ、カットー!」
「チェック入りまーす!」
画面の前に集まり今、撮った映像をチェックする
「うん、いいね」
「大丈夫ですか?」
「チェック終わり、お疲れ様」
「ありがとうございました―」
「お疲れ様ですー」
片付け始めるスタッフに挨拶しながら楽屋に戻る
「お疲れ~~~」
楽屋に入るとふにゃとした笑顔で迎えられる
鏡の前に座るとメイクを落とし始める
俺は松本潤
職業はモデル
雑誌にショーにCMと自分で言うのもなんだけど、いわゆる売れっ子モデル
今、俺の顔をいじってるのは大野智
ヘアメイクさん
「潤、今日もよかったよ。チョー色っぽくてキスしたくなっちゃったよ」
「バカな事、言うなよっ!」
「いやいや、あんなん誰でもイチコロだわ」
そんな会話をしながらもテキパキと手を動かしあっという間にプライベートモードに戻してもらう
帰り支度をして鞄を持って楽屋を出ようとしたら、大野さんから声がかかった
「あっ、潤!ニノから夕飯のリクエスト来てたぞー」
「はぁ……また、来てるのかよ………」
「俺の分もよろしくっ!」
「はいはい………」
帰りにスーパー寄ってもらわないとだな
冷蔵庫の中身を思い出しながら、スマホを開けばニノからのメッセージ
『今日はオムライスでっ』
メッセージの相手、二宮和也
CM制作会社のクリエイターで、俺が売れるきっかけになったCMを作ったやつ
同い歳でなぜか気があってから、プライベートも付き合いがある
いつの間にかそこに大野さんも加わって、男3人で俺の作る飯を食べるという奇妙な光景が当たり前になった
「マネージャー、スーパー寄ってもらっていい?」
「二宮さんですか?」
「あぁ……大野さんも」
「ほんと、仲良いっすねー」
「……まぁね」
動き出した車の振動に少しだけうつらうつらしながら、スーパーに寄り、家路に着いた