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「しょおくんっ!」

振り向けばプクっと頬を膨らまして、腕組みをしている潤

「あっ………」

「もう、早く片付けないとかず達が来ちゃうよ!」

「いや、片付けてる……はず……」

そう言って自分の周りを見渡してみれば、書類や本の山

「いやさ、気になり出すとついつい………」

そうなんだよ
片付けてるはずなんだけど、気になる物があるとそっちに気がいっちゃって、読みだしたり見返したり………
結局、始める前より散らかっているパターン


「はぁ……もう、時間ないからダンボールに戻して」


「はい……」




今日は大安
お日柄もよく
新しい家に引っ越した

夕方にはニノと雅紀が引っ越し祝いの酒を持ってくる

それまでに粗方、片付けなきゃねって話だったんだけど………

まぁ、無理でした

反対に潤は自分の私物はとっくに終わって、今はキッチンの片付けも終わろうとしている



潤が1から考えた2人が過ごし易い空間

普通より少し廊下は広めに
所々に手摺もつけた

もちろん全面バリアフリー

扉は極力少なく、ドアではなく引き戸にした

1番拘ったキッチンは、アイランドキッチン
シンクも調理台も座って作業出来る高さ
よくあるシンク下の収納も無くして、イスに座ったまま移動できる


リビングは俺の意見を取り入れて

キッチンで作業する潤の姿が見えるように、少しだけ高くした
もちろん、潤の足の負担にならない高さを考えて

後は2人でゆっくり座れるソファー

潤はそんな大きなのいらないって言ったけど、我慢できなくなっちゃうパターンを考えたら広い方がいいじゃん!
とは、言えないからなんとか理由を付けて誤魔化した


2人でした初めての共同作業みたいな感じがして、何を決めるのも嬉しかったな



「しょーくーんっ!」

「はいはいっ」

亭主関白と思われがちだか、結局は潤に甘い俺が尻にひかれている


「このお皿、そっちに並べてね」

「はいよっ」

「そしたら、こっちの料理並べてね」

「了解っ」


ニノと雅紀の為にせっせと料理を作る潤


「しょおくん~~~」

「はいよっ」

キッチンでサラダを盛っている潤に次は何だ?と思いながら横に立つ


「しょおくん………好きだよっ」

俺の頬に不意打ちのキス

「も~~~~じゅ~~~~~ん」

ほら、こうやって潤に振り回されてしまう


くふっと笑った潤

後ろからギュと抱き締める

イスに座っている潤が振り向きながら俺を見上げる

チュっと重なる唇
何度も啄めば、深くなるのは仕方ない

「んっ………」

合わせた唇の隙間から漏 れる潤の声

空いた隙 間から舌 を入れ、クチュっと絡 ませていく




『ピンポーン、ピンポンピンポン――――』


「しょおくん……来たみたいだよ」

「もう少し遅くてもよかったのに」

「そんな事、言わないの!早く出て!」


まぁ、せっかく来てくれるんだしな


「いらっしゃーい」

俺は笑顔を貼り付けて2人を迎えた