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次の休みの日、2人で区役所に『パートナーシップ宣誓書』を出しに行った

立会人の欄には俺の親父の名前



「おめでとうございます」

笑顔で祝福の言葉を添えてくれた

潤と目を合わせ照れ笑いを浮かべてしまう


「これで夫婦だなっ」

「夫婦なの?」

「だろっ?俺の嫁、潤ですって早く皆に紹介したいなー」

「いやいや、わざわざ言わなくてもいいよ」

「いやっ、言うっ!俺の嫁って言っておかないと、変な輩が寄ってくるっ!」

「寄ってこないから………」

「来るんだよっ、男女関係なく!」

「来ないってばー」


そんな傍から見たらただのバカップルな会話をしながら、もう1つの目的の場所に着いた


「しょおくん、ここ何処?」

「まぁ、着いてきてよ」

潤には内緒で極秘に動いてきた

エントランスを抜けて、暗証番号を入力してロックを解除する

エレベーターで最上階へ

キョロキョロと不安そうな顔で周りを見る潤の手を握る

ポンっという音と共に開いた扉から潤の手を引いて出ると、カードキーで玄関を開ける

そこにはただ広い空間が広がっていた


「し、しょおくん、ここは?」

「俺達の新居だよ」

潤の顔を見れば今にも目が落ちそうなくらい驚いた顔

「別に今の所でもいいんだけどさ、やっぱり潤には使いづらい場所がたくさんあるだろ?
キッチンだったりバスルームだったりさ」

普通に生活は出来るけど、やっぱり潤の身体に負担がかかる事かないわけではない
それは仕方ないこと
潤もわかってる

「ここは築年数は少し経ってるけど、リフォーム前で会社の付き合いのある不動産屋さんでさ、少しだけワガママ聞いてもらった。
間取りも何もない状態のままにしておいて欲しいって」

「えっ?」

「潤の使い易い様に、潤が設計しないか?
これから暮らしていく場所を潤のやりたい事すべてを詰め込んだ場所にしてみないか?」

「い、いいの?」

「もちろん」

きらきらと輝く潤の瞳

綺麗だな

「半分、仕事みたいな感じだけどね。こういうリフォームできますよーって会社の宣伝も込めて」

「しょおくんっ!」

勢い良く潤に抱きつかれる

「潤、やってくれる?俺たちの新居の設計」

潤の背中にそっと手を回す

「もちろんっ、やりたいっ!やらせて下さいっ!」

更に俺を抱き締める手に力がこもる


早く出来ないかなー、俺たちの愛の巣❤