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ケーキの箱を開けるとそれはまぁ、無惨な状態


「だから先に冷蔵庫にって言ったのにっ!」

さっきまで可愛く鳴いていたのに、今は頬を膨らましている

まぁ、その顔も可愛いけど


クリームを小指で掬って食べる仕草も可愛い


「あー、もったいないなぁ」

「まっ、また買ってやるから。なっ?」

「栗いーっぱいのね?」

「いくらでもっ!」


2人並んでベッドルームに行けば、そこには広くて大きなベッドが1台

ぱふんっと音がするんじゃないかと思う勢いでベッドに横になる潤


「ふっかふかだね」

「もう1Rやる?」

「ば、ばかっ!」

くるりと背中を向けてしまった潤を後ろから抱き締める

腰に回した手にそっと自分の手を添えてくる


「足、大丈夫か?」

「ちょっと、しんどい……」

途中で移動すれば良かったと今さら後悔

「ごめん…」

潤の項にチュッとキスを落とす

「潤?」

くるっと俺の方に向き、胸の中に顔を埋める

「しょおくん、ありがとう……」

「こちらこそ、これからもよろしくな」



潤の温もりを感じながら微睡みの中を漂う

ゆっくりゆっくり流れる時間に幸せを感じる


そんな時間も朝から鳴る俺のスマホの着信音で終わりを告げた


『おふくろ』


ディスプレイに表示された名前

潤を起こさない様にそっとベッドから抜け出し、画面タップした