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布団を被ったじゅんくんは、薬の所為もあるのかそのまま寝息を立てて熟睡

明日の退院は姉ちゃんが来てくれるし、面会時間もとっくに過ぎてるし、じゅんくんにメモを残して俺たちは病院を出た

雅紀の車に3人で帰路につく




「しょうさん、落ち着いた?」

「あぁ、雅紀にまで来てもらって悪かったな。ニノしか連絡先わかる人いなくて、焦ったわ」

「……じゅんくん、足だけじゃないんです。」


しょうさんになら話してもいいかな?って思った



「普段の生活には何にもないんですけど、トラウマと言うのか、衝突音とか豪雨とかダメなんですよね。
体調にもよるんですけど、俺が一緒に暮らしてた頃は思春期ってのもあって、もっと不安定だったんです。」



じゅんくんはたくさんの苦しみも悲しさも味わってきた
悲観的になる事もあったけど、自分の夢の為にもがいているじゅんくんを、間近で見てきた

そんなじゅんくんを支えたい
一緒に夢を叶えたいと思ったんだ


「しょうさん…………」

「ん?」

「じゅんくんの事、真剣ですか?」

「…えっ?」

「じゅんくんの事、恋愛対象として真剣にみれますか?
気の迷いなんかで、じゅんくんに近付いて欲しくないんです。
じゅんくんにはこれ以上、傷付いて欲しくないんです。」

「ニノ………」

「俺も雅紀もお互いがそういう対象である事に悩みもしたし、みんなが暖かく見守ってくれるわけではない。反感も強いし、肩身の狭い思いをする事もある。
それでも、俺は雅紀といたいと思ってます。」

雅紀がそっと俺の手を握ってくれる

「しょうさんにその覚悟はありますか?
親も友達も失って、それでもじゅんくんといたいと思えますか?」


じゅんくんには幸せになってもらいたい
俺が雅紀といるのが幸せなように


「……あるよ。
足も精神的な事も知ったら尚更、一緒にいたいと思った。
誰よりも近くで支えて、力になって、寄り添って……そんな関係になりたい。」


「そうですか。男に二言はないですよね?」

「ないよ……。」

「さすが帝王です。」

「はっ、なんだよ、それっ!」

「しょうさんにいい事教えてあげます。
じゅんくん、今、初恋してる様ですよ。
相手は誰………なんでしょうねぇ~~~~」


さぁ、しょうさん、覚悟みせてもらいますよ。

じゅんくんの初恋、成就させてあげて下さいね。