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「はぁ…………」
俺の後ろを歩く潤から聞こえるため息
申し訳なさそうに頭を下げて歩く姿が可愛い
「大丈夫?また、足がなんかある?」
「い、いやっ、大丈夫で…す。なんか、すみません。かず、心配し過ぎですよね?あんな事ぐらいで、大袈裟ですよ。昔からそうなんですよね。」
「あんな事じゃないよ。打ち所悪かったら大変だったぞ」
「……ですね。すみません………」
「ずっと気になってたんだけどさ、聞いてもいい?」
「あっ、足ですか?」
「うん、歩き方も少し違和感あるなぁと思ってたんだけど、一緒にいても何もないし、言いたくない事かと思って聞かなかったんだけどさ。
こんな事あるんじゃ、聞いておいた方がいいかなぁと。
話たくないなら無理しないで。」
「隠すほどの事でもないんで、大丈夫です。」
そう言って潤は両親の事、事故の事、心身に障害が残ってしまった事を話てくれた
生命と引き換えだったと思えばいいと何度も思ったが、やっぱり障害がある事で陰口を言われた時期もあって、人が苦手になったのもその頃からだったそうだ
「でも、最近思うんです。障害のおかげって言うと変ですけど、自分の夢とかこうやってしょうさん達に出逢えた事とか、嫌な事ばかりじゃないなって」
そうふんわりと笑う潤の顔にドキッとした
路上である事も関係なく、潤を引き寄せ抱きしめた
儚い姿が消えてしまいそうで、そうせずにいられなかったんだ
「しょ、しょ……うさんっ!」
その時だった
凄まじい衝撃音と通行人の悲鳴が一瞬にして静かな夜に響いた
事故か?
そう思った瞬間、腕の中にいた潤が震え出した
「潤?おいっ!潤!」
胸のあたりを掻きむしる様に抑え、呼吸も早くて浅い
顔面蒼白で汗も吹き出していた
「きゅ、救急車っ!」
慌ててポケットからスマホを取り出し救急車を呼ぶ
その間、俺はひたすら潤を抱き締める事しかできなかった