第26話小説『私は私~I can be me.~』 | jun2980さんのブログ

jun2980さんのブログ

 何にでも興味をもっています。今、ミステリー小説の連載中です。また、韓国ドラマ、良い加減料理や難病の膠原病をテーマに写真なども載せながらつぶやいています。皆さんのペタやコメントが励みになります。どうぞよろしくお願い致します。



      第26話


なっちゃん、聞いていて辛くない?

大丈夫?

私ね、美奈子が事故で死んだのか、自殺なのか分からないと、言ったけれど…

実はね、私は、自殺だと思っているの。

ごめんね、なっちゃん。

こんなこと言って…

えっ?なぜって?

そうね。

これから、話していくわ。

賢ちゃんの暴力は中学校に入った夏休み前から始まったの。

ちょうど、伸輔さんが釧路から、帰っていた時で、学校の三者懇談に行ったらしいの。

そこで、初めて伸輔さんと久保先生は会ったことになるわ。

賢ちゃんの成績、クラスで一位だったけれど、学年で二位だったの。

普通の親はそれで満足するわよね。

でも、伸輔さんは満足しなかったの


伸輔さん、賢ちゃんは咎めたらしいの。

そしたら、賢ちゃん、まるで獣のようになって、伸輔さんに飛びかかって行ったらしいの。

取っ組み合いになって、伸輔さん、賢ちゃんを投げ飛ばしたらしいの。

そしたら、賢ちゃんは、手当たり次第に物を投げて、とにかく大変だったらしいわ。

まあ!昨日も賢ちゃんそうなったの?

なっちゃんも大変だったわね。

美奈子、その時にパニック発作が起きたのよ。

美奈子にとって、伸輔さんは安住の人だったのに、壊れてしまったから


そしてね。

私もあまり詳しいことは、分からないけれど、久保先生、どういう訳か伸輔さんに恋心を持ったらしく、釧路まで会いに行ったらしいの。

初めは伸輔さんも拒んでいたらしいけれど…

そのうち、夏休みになったら、久保先生、ずうっと、釧路の伸輔さんのところで、同棲みたくなっちゃって。

それがね、今の若い子って、一括りにできないけれど、大胆なのよね。

美奈子に久保先生の方から、そういう知らせが入ったの。

美奈子、パニック症候群になってから、乗り物に乗れなくなってしまったらしいの。

それはパニック症候群の症状なのよね。

乗り物に乗ると、私、どうなってしまうんだろうって、不安になるらしいの。

私が一緒に釧路まで、行ってあげるって言ったんだけれど、乗り物がとにかく怖いって。

そして、美奈子、精神科の先生はうつ病ではないというのだけれど、でも、うつ状態だったと思うわ。

誰だって、夫に浮気されたらなるわよ。

賢ちゃんは、伸輔さんを憎むようになったの。

夏休みになって、理科の実験とか言い訳して、オキシドールで髪の色を抜いたりしていたけれど、結局はそれも賢ちゃんの演出だったの。

そんな、赤い髪をしているのを、誰かに見られたら、それだけで、世間は不良と見るでしょ。

そしたら、二学期から学校へ行かなくても、みんな納得するもの。

そうやって、美奈子が睡眠剤を飲んでもうろうとして、階段に座る美奈子の見張り役をすることになったの。

賢ちゃんは引きこもりということにもなったのよね。

美奈子の力になってあげられなくて、申し訳なかったわ。

もう少し、美奈子のこと、考えてあげれば良かったのにね。

ごめんね、なっちゃん。

私の話せるのはこのぐらいかな。

そう、言って、舞さんは壁のからくり時計を見た。

奈津子もつられて見た。

ちょうど4時だった。

正時になると、楽しげな音楽に合わせて、縦長の時計は2つに割れ、森の動物たちがくるくる回って出てくる。

それがもう五回繰り返されたのだなあと、奈津子はぼうっとした頭の中で考えた。

舞さんが立ち上がって、キッチンへ行った。

サイダーをトレイに入れて持って来てくれた。

奈津子の口の中で、炭酸がはじけて頭の中がすっきりしてくる感じがした。

奈津子は舞さんから、話しを聞いても、すっきりしなかった。

久保先生、あなたは何者なの?

会わなくてはならない。

母が死んだのだ。

名前だけしか聞いたことのない、まだ会ったことのない、ひよこに会わなければと強く思った。

憎悪の炎が、奈津子の胸の中で、燃え上がるのだった。


鑑識の結果、久保怜奈は多量の睡眠剤を飲んでいたことが判明していた。

浅井刑事は松村美奈子の死んだ朝、家から飛び出して行った男の子が、吉永航平であることを突き止めていた。
         つづく

最後まで読んでいただき、感謝いたします。 



人気ブログランキングへ