第10話小説『私は私~I can be me.~』 | jun2980さんのブログ

jun2980さんのブログ

 何にでも興味をもっています。今、ミステリー小説の連載中です。また、韓国ドラマ、良い加減料理や難病の膠原病をテーマに写真なども載せながらつぶやいています。皆さんのペタやコメントが励みになります。どうぞよろしくお願い致します。




    第10話

    
私はめまいがした。

松村の「詮索するな」と、言う声がいつまでも耳に残っていた。

心が痛いって、こういうことなのかと、思えた。

自分の思いが相手に届かない。

こんなに心配しているのに。

もどかしくて、淋しくて、辛い。

考えてみたら、私の片思いなのだ。

松村が私を頼って、話してくれる訳がない。

分かりきっていたのに、私は何を期待していたのだろう。

こんなに、心が痛むのなら、松村と繋がっていたいという気持ちを、私はあきらめようと思った。
  
うとうとしたように思う。

気が付くと、いつの間にか朝になっていた。

「美波、起きなさい」母の声が悪魔の叫びに聞こえる。

私は松村はどんな朝を迎えたのだろうと、松村の奥二重の切れ長の目を思い出していた。

学校に行くことに気が重かった。

おそらく、松村の話題で持ち切りになるだろう。

私はクラスの女子が松村の噂の真相を聞いてきたメールに、一切返信をしなかった。

きっと、私が登校するやいなや、私を取り巻くだろう。

クラス委員というだけで、私が何かを知る由もない。

私はみんなに松村の名誉を守るべくして、ちゃんと受け答えをしようと、決めていた。

だって、私は女優になるのだもの。

しかし、登校してみると、私に真相を聞きにくるなどという予想は全く
、余計な心配だった。

私が教室に入っていっても誰も真相を聞きに来なかった。

それどころか、逆に教えられることになる。

「ねえ、高山さん、知ってる?」

誰ともなく数人が寄って来た。

「昨日の朝、松村君のお母さんが、階段から落ちた時間に、一人の男の子が松村君の家から飛び出して行ったんですって」

私はどぎまぎしてしまった。

家の母に信子のお母さんから電話が
かかってきて、その話しは聞いていたから知っていたが、すでに、みんなも知っていた。

「それがさ、その子…」

そして、教えてくれようとしている子は声をひそめて続けた。

「吉永君なのよ」

その言い方は断定されていた。

            つづく

最後まで、読んでいただき、感謝いたします。



人気ブログランキングへ 私も参加しています。ポチっとしてね。 脳波が良くなる安眠枕