豊能の行政書士 西川です。

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正常でない意思表示の最終回は 詐欺強迫です。この二つはまとめて解説します。

まず詐欺です。

詐欺とは人を騙して錯誤に陥れ、それに基ついて意思表示をさせることです

詐欺だと認められる要件は四つあります。

騙す気持ちがある上に、それに基ついて相手に意思表示をさせようという意図があることです。騙す気持ちがあるだけで意思表示をさせようと考えていなければ詐欺行為とは言えません

騙す行為があること。説明義務があるのに黙っていたことも詐欺になることがあります。

騙す行為によって相手が錯誤に陥り意思表示をしたこと。これは当然ですね。

騙す行為に違法性があること。これは程度問題です。CMなどは大袈裟な表現がされることがしばしばありますが、明らかなウソはだめです。

詐欺でよくあるのが第三者の詐欺と言われるものです。

程のウソや誇大CМのケースです。B社の化粧品には抜群の美白効果があるとウソのCMを聞いたAがCストアで化粧品を買ったがCストアが善意無過失ならAは代金返せとは言えません(現実には自分の所で扱う商品についてCが何も知らないということは普通考えられないですが)

ではAがBに騙されてBに甲不動産を売り、そのBからCが善意無過失で買ったらどうなるか。結論はCは保護されます。

理由はまずBに騙されたと知ったAは意思表示を取り消すでしょう。取り消しの意思表示により売買は最初から無効になるので、Cは無権利者のBから買ったことになりCは甲不動産を入手出来ないという理屈になります。

しかしAが取り消すまではBが事実権利者で、その外観を信じたCは保護されるべきです(権利外観法理)また騙された方も悪いとよく言いますが、その意味でAにも責任がある(帰責性)ので、一旦Cに渡った不動産をAが取り戻せないという不利益を受けるのは仕方ありません。

但し、責任があると言っても騙された被害者のAが一方的に不利益を被るのも酷です。といってCも保護すべき。そこで両者のバランスを考慮してCが不動産を得られる条件として善意無過失というハードルを設けたのです。

では最後の強迫です。これは害悪を告知することで相手を畏怖させ、意思表示をさせることです。刑法の脅迫罪とは字が違うので注意して下さい。

これは簡単で強迫した者に100%の帰責性がありますから、脅されて意思表示をした者を100%保護します。つまり常に取り消せるし、たとえば強迫されたAから強迫したBに不動産が売られ、それがBから善意無過失のCに売られてもCはその不動産を手に入れることは出来ません。

強迫される方も悪いとは誰も言いませんから、全面的に強迫の被害者Aが保護され、Aの取り消しによって不動産はAに戻ります。

以上で正常でない意思表示シリーズは終わり、次回からは「親族法のツボ」と題して解説をいたしますので引き続きよろしくお願いいたします。