空海の教え  秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく)   未完成
[以下引用]
 弘法大師の著書から、その教えを学ぼうと思います。すこしづつ、噛み砕いていきたいですね。
 『十住心論』とは、正確には『秘密曼荼羅十住心論』、その要約の略本が『秘蔵宝鑰』です。
 この十住心論は大師が晩年にお書きになった十巻からなる大作で、大師の生涯における
 真言密教の教学の集大成とされているものです。
 (赤文字が本文です。なお、意訳等は、ちくま学芸文庫『空海コレクション1』を参照しました。)

秘蔵宝鑰(ひぞうほうやく) 序
  
      沙門遍照金剛撰(しゃもんへんじょうこんごうせん)  

 悠々たり悠々たり太だ悠々たり
  ゆうゆうたりゆうゆうたりはなはだゆうゆうたり

 内外の謙? 千万の軸あり
  ないげのけんしょう せんまんのじくあり

 杳々たり杳々たり 甚だ杳々たり
  ようようたりようようたり はなはだようようたり

 道をいい道をいうに百種の道あり
  みちをいいみちをいうにひゃくしゅのみちあり

 書死え諷死えなましかば本何がなさん
  しょたえふうたえなましかばもといかんがなさん

 
 知らじ知らじ吾も知らじ
  しらじしらじわれもしらじ

 ・・・・・・(欠文)・・・

 思い思い思い思うとも聖も心ることなけん
  おもいおもいおもいおもうともしょうもしることなけん

 牛頭草を嘗めて病者を悲しみ
  ぎゅうとうくさをなめてびょうしゃをかなしみ

 断?車を機って迷方を愍む
  だんしくるまをあやつってめいほうをあわれむ

 三界の狂人は狂せることを知らず
  さんがいのきょうじんはきょうせることをしらず

 
 四生の盲者は盲なることを識らず
  ししょうのもうじゃはもうなることをさとらず

 生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く
  うまれうまれうまれうまれてしょうのはじめにくらく

 死に死に死に死んで死の終りに冥し
  しにしにしにしんでしのおわりにくらし
 迷いの世界を理解せず、生死輪廻を繰り返している 私達のすがたに、大師は(仏は)いかに向かい合うの でしょうか。


 仏典やそれ以外の限りない書物もある


 さまざまな道を説くものも、無数にある


 限りなく、永劫に、深く、広くある


 それらを書くことも無く、暗記することもなければ
  教えの根本をどうして伝えられようか


 そうしなければ、誰も教えを知る者もなく
  私もしらないだろう


 どんなに教えを考えても、考えぬいても聖者もそれを知ることができない


 古代の中国の神は、草をなめて薬をつくった


 偉大な王は、道のわからぬものに指南車をつかって方角を教えた


 迷いの世界に狂える人は、その狂っていることを知らない

 真実を見抜けない生きとし生けるものは、自分が何も見えていない者であることがわからない


 わたしたちは生まれ生まれ生まれ生まれて、生のはじめがわからない


  死に死に死に死んで、死のおわりをしらない