来週やって来る日本人のお客様に何処へ行きたいかを聞くと大概の日本人と同じ答えが 返ってきた
その中に「フランダースの犬」の教会に行きたい
と言うのがあった。




え?そんな所で良いの?と 思わず思った
家から近いと言えば近く もう 何回も行ってるしなぁ〜と自分目線
でも 日本人にとっては アニメの影響も色濃く 「聖地」の一つなのかもしれない ただ 今でも? と疑問符も🤣
そして 行ってみたい割に何も知らないのにびっくり
それで ちょっと 私の知る限りを蘊蓄よろしくで 話した

🙋🏻‍♀️ イギリス作家ウィーダが 
ベルギー のアントウェルペン(アントワープ)に滞在後 執筆した悲劇の話

モデルの寒村は ベルギーのフランドル地方のアントウェルペンに程近いホーボケンであり 登場する風車小屋は 当時 実際にオランイェ公(オランダ貴族)が、所有していた物であり アロアのモデルになった少女もいる

貧しいネロが 見たいと夢にまで見たルーベンスの絵画は 実在し 今もネロが 死んだ教会 ノートルダム大聖堂(聖母大聖堂)に飾られている


キリスト昇架



キリスト降架


🙋🏻‍♀️ さて この話 アニメでも涙無くしては….の悲しい結末
が、子供用と原作では ちょっとラストが 違う
何が違うかというと

生活に困窮した少年が ワンコと自殺 したのだ

さすがに児童書では そこはボカシ 寒さと疲れで眠ってしまい凍死した事になっている
が 原作では 「パトラッシュ 一緒に死のう」 とハッキリ ネロは言っている

クロンペンという木靴も寒いのに脱いだ

貧しいだけで無く 放火の罪の疑いをかけられたり ミルク運びの仕事を奪われ 仲良しのアロアとも会えなくされたり 更に微かな希望の絵のコンクールも落選
踏んだり蹴ったり

それでも拾った大金をネコババせずに正直に落とし主に届けて 愛犬パトラッシュをそこに預けて 自分だけ ルーベンスの絵画のある 遠いノートルダム大聖堂へ雪の中を薄着で向かう

夢も希望も無くし お金がなくて チケット代が払えず ただ見る事さえも許されない憧れのルーベンスの絵画の元へひたすら歩き続ける
まるで自分の死に場所がそこだと定めたかのように ただひたすらに
そして 心から憧れていた絵画の前にやっとの思いでひざまずく

その時 後を追ってきたワンコ パトラッシュが! ネロとパトラッシュは しっかり抱きあう
ネロは言う
「僕も疲れちゃったよ 何だか眠くなってきた
パトラッシュ 一緒に死のう」 

厳格なカソリックの教会は 自殺を禁じていた
更に ルーベンスの宗教画の前でというのは かなりの禁断である
だから 第一発見者の神父が 機転を効かせて 脱いでいた クロンペンを履かせ 自殺とわからないようにし 疲れて眠り凍死 に見せかけ 由緒あるノートルダム大聖堂で 葬儀をし ネロは パトラッシュと一緒に祖父と同じ墓に入れた



という原作の展開

🙋🏻‍♀️ 地元のベルギー人は この話は あまり好きでは無い
なぜかと聞くと
「私達は そこまで 冷たく無いし 非道でも無い!ネロのような死に方などさせない!」と言っていた
また 金物屋にこき使われ虐待にあっていたパトラッシュにもそんな目に遭わせるわけがないと憤っていたっけ🤣そりゃそうかもね

🙋🏻‍♀️ ネロとパトラッシュの死と入れ違いに著名な画家が ネロの絵の才能を見込んで引き取って絵の勉強をさせたい とか 意地悪だったアロアの父ネロに謝罪し 引き取りたいとか 遅かりし由良之助 もいいとこ😡
まあ 創作物だからねぇ〜

とまあ このようなことを話した
反応は
「いや〜 余計 行って 大聖堂のルーベンスの絵画を見たくなった!!」

私も もっとしっかり見たくなった
ネロとパトラッシュを天にいざなった天使や聖母の絵もあるので!


ノートルダム大聖堂

ベルギー アントウェルペン(アントワープ)