前回の続きです。
私は、父が亡くなって悲しかったけど、あの棺桶に入れるパンドラの箱を開けてからは、苦しかった。
毎日、泣いて、夫に
「父のことはわたしが殺したんだ」
「本当に酷い人間だ」
「こんな酷い人、会ったことない」
と言い続けた。
幸か不幸か、火葬場の予約が混んでいて、葬儀は亡くなってから9日後に行うことになっていたので、葬儀の詳細は1週間かけてLINEで打ち合わせをしていたが、普通より時間があるので、打ち合わせで体力はあまり奪われず、毎日、泣いて、父への私の態度の酷さを後悔し続けた。
夫は平日昼間は仕事に行って、日中1人の時も、ことあるごとに泣き続けた。
夜も眠れないし、テレビをつけても上の空だし、食事をとっても泣き出してしまうし、葬儀の打ち合わせもしながらだから、24時間頭の中は父だった。
でも、妹がいることに救われた。
一緒に悲しんでる人がいることに救われた。
お葬式当日。
最後のお別れで、パンドラの箱の中身を棺に入れてる時、夫がそれらの手紙を見て、
「junはちゃんと愛されてたよ。良かった…」
と泣いて、手を握ってきた。
本当に愛されていたかは分からないけれど、私は、悲しみや後悔、無念の涙から、夫がこんなに泣くほど私を思ってくれてる嬉しさの涙に変わった。
夫が夫で、幸せだと思った。
