前回の続きです。



葬儀が終わってからは、色々な手続きに追われた。

公的なことは妹にお任せして、私は、毎月の支払いやカードを止めるなど、公的なこと以外全てを担当した。

父の生活を全く知らないので、携帯はどこと契約してるのか、ネットは?毎月の支払いはなにがある?使用してる金融機関はどこ?など、色々父の家で資料探すことから始まった。



けれど、父の家が既に片付け始められていて、初めはヘルパーさん?と妹と話していたのだけれど、大家さんに父が亡くなったことをLINEで報告したら、片付けているのは大家さんだということが分かった。



大家さんは、父とお出かけするくらい親しくしていたようだが、私は、法的に大家さんが勝手に片付けていいものなのか、生前に家を明け渡すよう父に言ったみたいだけどどう考えているのか、そしてなにより、父の物を勝手に処分しないで!と強く思った。



大家さんに、父とは片付けについてどうゆう話になっているのか、必要書類もまだ見つかってないし片付けないで欲しい、と連絡したが、大家さんからは、

「片付け費用は心配しないでください」

「片付けが終わるまでの家賃も必要ありません」

「欲しいものがあれば持っていってください」

と返信が来た。



片付けを止める気はない感じだったので、妹に相談したら、「私から大家さんへの文面が事務的で冷たい」「父と仲良くしてくれた人で、大家さんも片付けたいのかもしれないんだから、大家さんの気持ちを大切にしたい」と言われた。

「大家さんから見れば、私たちがいきなり出てきてなんなのって気持ち」だと…。



あぁ、私は冷たいんだ…。

疎遠だった私より、大家さんの気持ちを大切にするべきなんだ…。


私の気持ちは?と思ったけれど、私の気持ちを優先させることがすごくわがままなんだと思って、妹の意見を尊重した。



けど、今は、その行動をすごく後悔している。



妹も初めは「父の家を片付けながら気持ちの整理をしたい」と言っていたが、すぐに「子供達との時間を大切にしたい」と言って、片付けには来なくなった。


そして、私が大家さんと競うように片付けをすることになる。

車で片道1時間半かかるので、1人では通えず、週末に夫についてきてもらった。

平日は色々な手続きを、週末は父の家に通う日々。


体調が悪くても、大家さんに片付けられたくなくて、無理して通った。

たまにすごく体調が悪くて行けない週があるとすごく焦った。

それが、私をすごく苦しめた。



父の書斎は、よく床が抜けなかったなと思うほどの大量の本と書類でいっぱいだった。

「この部屋には俺の全てがある」と父が言っていた通り、父がこれまで関わってきた仕事の資料もなにもかもがある気がした。

40年前の仕事の資料も出てくる。


そして、たまに私たちの写真や思い出の品が不意に出てきて、泣きながら片付ける。


1番やられたのは、父からのメモが出てきた。

離婚が決まってから、私たちが家を出るまでの間の日付が書かれていた。


junへ 妹へ

いつまでも元気で

楽しく幸せに生きてください

お母さんの言うことをよく聞いてネ!

二人とも大好きです

パパより


この手紙がここにあるってことは、渡さなかったのだと思う。

私たちは、父から手紙もらったことないねと話していたけど、唯一の手紙が出てきて、しかも大好きと書いてある。

しんどかった。

やっぱり父はすごく不器用なんだなと思った。