炭次郎待て‼待ってくれ頼む‼
私の意志を、思いを継いでくれ、お前が‼
お前にしかできない
お前は神に選ばれし者だというのが分からないのか
炭次郎、炭次郎行くな‼
私を置いていくなアアアア‼
『かわいそうに……』
「”生きたい”というたった一つの強い想いだけで死の淵から生まれ出で
迫りくる死の影…病から必死に抗い
日の光を恐れながらも
人を喰らい
千年以上も生き続けてきた」
「あなたのしてきたことを誰も許してはくれないかもしれません
でも、たとえ世界中に、あなたを許す者が1人もいなかったとしても……」
私はあなたに……生きていてほしいです
↓
「その時何が起こったのかは私には分からなかった
だが……
そんな私の前には、
信じられない光景が広がっていた……!」
「遠き日から焦がれ求め続け、そして遂には諦めていた、太陽に照らされた温かい世界
私にとっては、生まれて初めて“救われた”と思えた瞬間だった」
↓
あのお方の…“神の体”を通して顕現した私は、もはや生前のように日の光に焼かれることなどなく、
誇張抜きで全てを超越した究極の存在となったのだ
故に、全ての過去を、私は忘れることにした
私が生きるために殺した者たちの事は勿論、醜くもがく自分自身さえも!
神として生きるために不要なもの全てを、私は忘れる!
都合の悪い事は忘れちゃおうってわけ?
イイ性格してるじゃない
……アラそんな顔しないで
褒めてるのよ
私も見習わなくっちゃ
だが……私は……
あの暗闇に差し伸べられた手を……
ミユ様の温もりを…忘れない……
フッ、そうね
アナタもあの子のお人好しで、長年の夢を叶えてもらったんですものね
最も強く美しい不老不死の体…さぞ満足でしょう
そうとも……私の好きなものは『不変』
完璧な状態で永遠に変わらないことだからね
完璧になった割には、籠り癖が抜けてないみたいだけど?
無意識のうちに太陽の下へ出ることを拒絶してしまっているのかもしれない……
もう鬼でもないのに?
恐ろしいものだよ、千年間の習慣というのは……
貴様は晴れて神となったのであろうが
我らを束ねる神ともあろうものが、堂々と構えてなくてどうする?
私は及ばずながら、あのお方の意思を皆さんに伝えることを任された代弁者に過ぎませんので
~登場人物~
ミユ・リターナー
鬼無辻無惨
水銀燈(ホムンクルス)
アーチャー/ギルガメッシュ