私の咳は一向に収まらなかった。
家族とは違う部屋で、一人で寝た。
咳は一晩中止まらず、また体中に響くような酷い咳だった。
とても眠れるものではない。
呼吸することすら苦しく、
これまで感じたことがないほどの胸の痛みがあった。
こんなに酷い咳をしているのに、小児科の病室に行くのはやっぱり気がひけた。
考えた末、翌朝早く、私は再び大学病院の内科受付に並んだ。
やはり3時間くらい待たされて、受診した。
昨日とは違う医師だった。
「昨日なんともないと言われたが、やっぱり咳が酷い」
と訴えると、医師は私の痰と血液の採取とレントゲンを撮るように手配してくれた。
レントゲンが現像されるとすぐに呼ばれた。
「完全に肺炎ですね。」
レントゲンの私の肺は真っ白に写っていた。
「入院した方がいい。」
そんなに進行していたなんて、昨日の医師の診断は何だったのかと腹が立ったが、
そんなこと考えても仕方ない。
息子が小児病棟に入院しているから、私自身の入院は難しいことを話すと、
「では、毎日点滴に通えますか?」
と、外来で治療することにしてくれた。
それで、私はその日から数日間、内科外来で2時間の点滴を受けてから、長男の病室に通うことになった。
医師はこんなふうに言った。
「ほんの数十年前はね、薬がなくて、この病気でたくさんの人が亡くなったよ。
でも、今はいい薬があるから、必ず治るよ。安心してくださいね。
良かったね。薬がある時代で。」
そうなんだ…。
時代が違えば私はこれで死んでいたのね。
長男は───
どうやら命は助かりそうだけど、これからどうなるか全くわからない。
もしかしたら、もう何十年か、いや何年かしたら、薬があって、容易に治るかもしれないのに、今は薬がない。
あるウイルスが、私は肺に入って、長男は脳に入っただけの違いだけど、
全然違う…。
複雑な気持ちだった。
長男が肺炎で、私が脳炎だったら良かったのに……。
【つづく】