2006/1/17
その日、面会時刻が終わるまで長男は眠ったままだった。
私たち夫婦は、昨日医師に話を聞いた応接室で、再び医師と話をしていた。
今日もCTとMRIを撮ったが異常は見られなかった。
採血など他の検査でも目立った異常はない。
翌日はCTとMRIに加え、脳血流と髄液の検査をするという。
検査では異常がないので、医師は明言を避けていたが、
顔が少し深刻だった。
理由は、夜の長男の行動だ。
意識が朦朧としてるとか、そういうレベルじゃないのは、
誰の目にも明らかだった。
長男の「笑い」や「しゃべり」「表情」は
脳にかなりのダメージを受けていることを暗示していた。
笑顔が見れて嬉しい、なんて言ってる場合ではないのだ……。
「てんかんなどではない可能性が高いと思ってます…。」
「明日の髄液検査で何かが分かると良いですが。
髄液とるの、相当痛いですが…がんばってもらいます。」
髄液検査は脊髄に注射の針を刺して、その中の液を抜くことから始まる。
その太い注射針がどんなに痛いか…私も昔経験がある。
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長男を出産したとき、出産直後私の大腸の壁の血管(動脈)が切れ、大量に出血した。
体がドクン、ドクンと波打って揺れるほど血が出た。
血の気が引いていく感じが自分でもわかった。
その場で緊急手術となった。
全身麻酔している暇はなく、脊髄麻酔での手術。
あの時は別の痛みと恐怖と加えて脊髄麻酔の痛みも半端なくて、
何が何だかわからないけど耐えるだけだった。
(力を入れると出血するので、力を抜いて!と言われ…。でも、つい力入るんだよね…。)
気が狂うほど(いっそ気を失いたかった…)長い手術の時間を耐えることができたのは、生まれたばかりの長男を置いて死ねない!という思いがあったから。
出血多量であわや…の状態だったけど、何十針も縫って、なんとか止血でき、助かった。
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その大切な長男の身に何が起きているのか……。
翌日の検査に望みを託して、その日は帰宅した。
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その夜、博多で一人暮らしをする母から電話があった。
「私、やっぱりそっちに行くわ。」
前夜、お互いの親には一応連絡していた。
夫の両親も九州で、どちらも遠方だから、心配かけるかとは思ったけれども…。
母が来てくれると正直助かる。
病棟には入れないけど、次男を見てもらえる。
私は甘えることにした。
翌日来てもらうことになった。
病院から戻ると夜の9時で、夕食はコンビニの弁当だ。
食欲もないが、私は機械的に食べ物を口に運んだ。
食べなきゃ。
どれだけ長期戦になるかわからないもの……。
長男と、次男のために、
私が倒れるわけにもいかないし、
意気消沈してる姿を次男に見られたくない。
体はぐったりしてるのに眠れない。
それでも少しでも体力温存できるように、布団に入って目を閉じた。
明日、何かが分かるだろうか。
早く病名を知りたい。
こんな不安な気持ちはもういやだ。
でも、分かるのが怖い気もする……。
【つづく】