Reincarnation ~輪廻転生~ 39 | 時をこえて・・《シンイ2次小説》

時をこえて・・《シンイ2次小説》

「信義ーシンイー」の2次小説を綴っています。

母上・・・

あの日・・・
母上が、典医寺でお倒れになった日・・・

父上は、ある決意をなさったそうです・・・


ただ、それは・・・

母上との約束を破ることになった・・・と
父上の我儘だった・・・と
父上は、そう何度も漏らしていらっしゃいました。

でも・・・それは・・・
父上と同じく、私も、フォンも、そして
ユリも・・・
母上に生きていてほしくて・・・

例え、高麗の地で

二度と母上とお会いすることが

出来なくなったとしても・・・


母上に生きていてほしかったのです・・・











『時が・・・来た・・・?
まさか・・・』

ミョンウォルの背後に、
息を切らし、駆け付けたヨンの姿があった。

 

 





ヨンの声に、チャン侍医とミョンウォルは振り返る。
ヨンは、チャン侍医とミョンウォルの間をすり抜け
寝台に横たわるウンスの手を握りしめる。

『ウンス・・・!!』

その姿を、チャン侍医とミョンウォルは
暫くの間、何も言わずに見守った。

そして、ヨンは、何かを心に決めたかのように
小さく頷くと、チャン侍医とミョンウォルに振り返った。

『侍医・・・
ミョンウォル・・・

先ほど、時が来たと話していたが・・・

それ程までに、この方の身体は・・・』

ヨンは、その先の言葉を口にするのを憚るかのように
チャン侍医とミョンウォルに問いかける。

「上護軍・・・

以前、奥方の病についてお話していたことを
覚えていますか・・・?」

チャン侍医は、ヨンの問いかけには答えずに
ヨンに問いかけた。

『ああ・・・覚えている・・・

この方の病は、高麗の医術では
治すことは出来ぬ・・・病・・・だと・・・』

ヨンは、思い出したくない様子で
言葉を詰まらせながら答えた。

「はい。
その通りでございます。

されど、私たち典医寺の医員、薬員は
高麗一の医術と、薬草の知識を持っていると
自負しています。

その医術と知識で、奥方の病を治すことは
出来なくとも、進行を遅らせることは出来ると・・・

しかし・・・」

チャン侍医は、口惜し気に唇を噛みしめる。
そして、ヨンの漆黒の瞳を真っ直ぐに見据えて告げた。

「申し訳ありません・・・

此処までが限界かと・・・


奥方の病の進行を、

これ以上遅らせることは出来ません・・・」

チャン侍医の言葉に、ミョンウォルは、
衣の袖で、目じりに滲む涙を拭った。

ヨンは、チャン侍医の話を、眉一つ動かさずに
ただ、黙って聞いていた。

『そうか・・・
わかった・・・

ならば、俺も・・・

腹を決める時がきた・・・

ということか・・・』

ヨンは、再び寝台に横たわるウンスの手を
その大きな両手で包み込む。

「上護軍・・・?」

ヨンの様子に、チャン侍医が心配そうに声をかけた。

『侍医・・・
この方の命は・・・

天門まで・・・』

ヨンは、ウンスの顔を愛おし気に見つめながら聞いた。

「それは・・・


まさか、奥方を、天界に・・・?

されど、天門は開いているのですか?」

チャン侍医は、ヨンの言葉に
驚き、声を荒げた。

『先日、天門に変化があったと・・・


恐らく、この方を迎える為・・・
天門が開く・・・のだろう・・・』

ヨンは、苦し気に言葉を紡ぐ。

「上護軍・・・

しかし、それは、奥方が最も望まないこと・・・」

『わかっている!
わかっているとも・・・

されど・・・

俺とて、この方と離れることなど
考えたくもない・・・

だが・・・
天界に戻れば・・・
この方の命は、助かる・・・

ならば・・・俺は・・・』

ヨンの慟哭に、チャン侍医とミョンウォルは
ヨンにかける言葉を失ってしまった。

















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最後まで、お読みいただき、
ありがとうございます。

ドラマ『シンイ』の2次小説です。
私の想像の世界です。
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by junjun