使用人の男が、
白い夢幻花の花びらを両手に抱え
寝室を出ていくと
ウンスは、主の額の汗を拭いながら
主の容体を、もう一度くまなく確認した。
「主さん。
どこか苦しいところはありませんか?
痛みは?
気分が悪くはないですか?」
優しい、包み込むような声で
ウンスは、主に話かける。
そんなウンスの声に
主は、何度も首を横に振った。
「そう・・・
じゃぁ、主さんが元気になったら
私も呪術を教えてもらおうかしら・・・フフ」
ウンスは、主を元気づけようと
少しおどけてみせた。
その言葉に、主は、ウンスの腕を掴み
微かに開いていた瞳を大きくした。
「あら?
私には、無理ってこと?
ウフフ・・・主さんも意地悪ね。」
ウンスの、暖かい笑みに
主の消えかけた命の灯が少しだけ力づく。
「ご主人様・・・
これを・・・
お飲みになってください。」
扉を開け、使用人の男が
白湯と、粉薬のようなものを
主の元へ運んできた。
『これは・・・?』
ヨンは、主の手に渡る前に
使用人の男を止め、聞いた。
「はい、上護軍様・・・
これは・・・
先ほどの、白い夢幻花の花びらを
粉にしたものでございます。
朱色の夢幻花は、呪術をかけるための花・・・
そして・・・
白い夢幻花は・・・呪術を解くための
護符となり、術返しをなかったことにできます。
されど・・・
白い夢幻花は、珍しい花、
いくら育てようとしても
花が咲くことはございませんでした。
それが・・・
奥方様がいらっしゃった宮の庭に
咲いていたとは・・・」
使用人の男は、頬を緩ませながら
白い夢幻花の花びらの粉を見つめた。
「あの・・・
これって・・・
あの白い花びら以外に
何か合わせてます?」
ウンスは、使用人の男が手にする
粉を、じっと見つめながら聞いた。
「あ、はい・・・
滋養がつく薬草を数種類・・・
ご主人様が
書き記した書の中にあったものばかりでございます。
けっして、害になるようなものは
入っておりません。」
「あ、疑ってるわけじゃないの。
何が入っているのか、
ちょっと、気になっただけ・・・
さぁ、主さんに飲ませてあげて。
その後、もう一度、診察します。
必要とあれば、鍼治療や
お薬を処方します。」
ウンスは、使用人の男から
白湯と白い夢幻花の薬を受け取ると
使用人の男は、主を寝台の上に起き上がらせた。
主は、力なく寝台の上で座りながら
白い夢幻花の薬を、なんとか飲むことが出来た。
「はぁ~・・・」
主は、薬を飲み終えると、
一度大きく息を吐いた。
「ご主人様・・・
これで、大丈夫でございますね・・・
さぁ、ゆっくりとお休みください。
お目覚めになるころに、
重湯をお持ちいたします。」
使用人の男は
主を横たわらせると
上掛けをかけながら主に声をかけた。
その様子を、ヨンとウンスは、黙って見守っていた。

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ドラマ『シンイ』の2次小説です。
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by junjun