「さて、話がそれましたが・・・
本題に入りましょう。」
主は、姿勢を正すと、ゆっくりと話し始めた。
「まず、上護軍の奥方様に駆けられた呪術は
倭国の陰陽道の呪術・・・
これは、確かでございます。
恐らく、お屋敷のどこかに
呪術の形代となるものがあるはず・・・
その形代が何であるかによって
呪術を解く方法が異なってまいります。
私が感じたところ・・・
奥方様が大切になさっているもののちかくに
それは存在するでしょう。」
『あの方のちかくに・・・という事か?』
ヨンは、主の言葉に何かを感じた。
「そしてそれは、一度奥方様が
手に触れているはず・・・
奥方様が、その形代に力を与えた
可能性が高い・・・」
主は、意識を集中させるためか、
瞳を閉じて語り続けた。
「お屋敷の中・・・
命が宿る場所
命を救う糧を育てる場所・・・
そこに、形代となるものの力を感じます。
お急ぎください。
その形代が、そこにある限り
奥方様は目覚めることはありません。」
主は、ウンスの命の危機を告げた。
ヨンはすぐに、その場から離れ
庭先で指笛を鳴らした。
指笛の音に一羽の鳩が飛来する。
ヨンは、手早く文を認め鳩の脚に潜りつけると
鳩を空に放った。
『屋敷に知らせを飛ばした。
それで・・・?
その呪術をかけた輩の正体は誰だ?』
ヨンは、椅子に座りなおすと
鬼のような形相で主を睨みつける。
「そこまでは、今はわかりかねます。
ただ・・・
術をかけるにも、術者の癖がございます。
それは、形代にも表れます。
形代が何であったか、それがわかれば
術者に近づくことも可能でございます。」
主は、落ち着いた声で応える。
「それじゃ、時がかかりすぎるんじゃないか?
さっきの刺客の口を割らせる方が早い。」
師叔は、辛抱しきれない様子で立ち上がる。
「おやめなさい。
あの者たちは、死んでも口を割りません。
そのように思考を操作されているはず・・・」
主が、師叔の動きをとめた。
「あの者たちは、倭国の忍でございます。
簡単に口を割ることはないでしょう・・・」
主は、捕らえられた刺客の方向を見ながら
呟くように告げた。
*今日は、このお話の前に
途切れし絆~届かぬ想い 18
大護軍の憂鬱 7
をお届けしています。

にほんブログ村
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
最後まで、お読みいただき、
ありがとうございます。
ドラマ『シンイ』の2次小説です。
私の想像の世界です。
お読みいただき、
イメージが異なってしまうかもしれません。
その際は、スルーをお願いします。
by junjun