二人共何も話さず…

自転車の走る音と

横を通り過ぎる車の音と

排気ガスの匂いだけがしていました…


時々…
佳奈さんが自分の身体に回してる腕をギュッと強く握り締めます…


自転車で向かってるのは…

あのいつもの朝陽を見る丘です…


去年の夏休み…
佳奈さんが夜中に自分を、初めて連れて来てくれた場所…


それから雨の日以外の毎日…

ここから二人で見た朝陽…

二人で夢を話したね…

二人で笑ったね…

二人で泣いたね…

二人で抱き合ったね…

二人…キスしたよね…


二人の大切な場所…


坂道になり…

二人乗りではキツイけど


自分が佳奈さんをあの場所に連れて行くんだ…


佳奈さんは何も言わないけど…
何処に向かってるか分かってるはず…

ずっと自分の背中に顔をくっつけています…


いつも場所に着き…


「佳奈さん…

ベンチに座って…」


「はい…」


佳奈さんは自転車を降りてベンチに座りました…

泣いた顔を見られたくないのか俯いたままで…


佳奈さんの前に立ち…


「佳奈さん…

ごめんね…

本当にごめんね…


辛い所見せてしまったね…
どんな理由があっても
あんな事したらいけないよね…」


佳奈さんは俯いたまま黙って聞いてます…


「でも…

信じて欲しい…

自分は佳奈さんだけなんだ…

毎日考えるのは佳奈さんの事ばかりだよ…


頑張ってお医者さんになる為の勉強してるのかな…?

もうご飯食べたかな…?


疲れてないかな…?


風邪ひいてないかな…?


自分の事考えてくれてるかな…?


本当に佳奈さんの事ばかりなんだ…しょぼん


「佳奈さん…

ごめんね…」


佳奈さんがゆっくり顔を上げ…


涙で真っ赤になった目で

自分を見つめ…


「じゅん君の…



バカ…しょぼんしょぼんしょぼん


そう言うと…


自分に抱き着いて来ました…


「バカ…

じゅん君のバカ…しょぼん

バカ…しょぼんしょぼんしょぼん


佳奈さんを抱き締め…

「うん…

うん…しょぼん

ごめんね…しょぼんしょぼん


佳奈さんごめんね…しょぼんしょぼんしょぼん


「じゅん君…しょぼん



ただいま…しょぼんしょぼんしょぼん



「おかえり…


佳奈さん…しょぼんしょぼんしょぼん