子どもが出来たことを

親に言えないまま

 

おなかの子は大きくなっていく

 

順調に出産に

向かうのかと思ったのに

彼は二の足を踏んでいて

 

私は結婚できるのかすら

危うくなっていた

 

出産できないなら

別れると伝え

 

彼がどうなるか

分らない中

 

一人で育てることを

想像した

 

親に頼ることも出来ずに

自分で大学費用と生活費を工面している生活

一週間働かなかったら

生きていくことに途端に

困るその日暮らしの私に

 

一人で出産して

一人で子育てしていけるなんて

想像もできず無理だと思った

 

あの時、シングルになる

ことの大変さを

想像の中でだけど

うんと感じたから

世の中のシングルのお母さん達への

尊敬を心からしているし

 

時々事件になるような

赤ちゃんを産むことを

誰にも言えずに命を奪ってしまう

お母さんも、

言えなかったその

気持ちはわかるし

 

おなかの中で人知れず、

母親の生まない選択のまま

帰っていく赤ちゃんがいることも

悲しいけれど、その選択をした

気持ちも否定できないなと思う

 

 

 

そして、親には言えないまま、

彼もどうしたいのかわからないまま

時間は過ぎる。

 

病院には、選択のリミットを

告げられる。

 

私は光がこっちを見ていると感じた時に

「生むから」と

約束したことを思いながらも

一人でどうしようもなく

心が折れそうになっていた

 

どうしていいかわからずに

ある日教会の一番後ろに

座って思いきり泣いた

 

自分に力がなさすぎて

約束したのに生めないかもしれない

神様がいるなら助けてほしい

そんな気持ちだったかも

 

泣いて泣いて泣いて

もう、後はなるようになるしか

ないんだと思って立ち上がって

教会から出ていこうとして

 

40段くらいある階段を降り始めた時

足を踏み外して下まで落ちた

 

激痛で起き上がれなくて

赤ちゃんが、赤ちゃんが・・・

と意識朦朧としながら

心配でしょうがなかった