母親は宗教結婚で

好きではない人と結婚したものの

 

人として正しくあろうと

一生懸命、父親をたてて

尽くそうとした。

 

でも自己犠牲のような愛情いっぱいで

がんばれば頑張るほど

 

理想とは違う現実に

打ちのめされていく。

 

父は、コミュニケーションが

通じない人だった。

 

子どものとのかかわり方も

分らない。

 

子どもが泣いていても

気にもとめない。

抱こうとしない。

 

保育士だった母親からは

信じられず愕然とするものだった。

 

時に喧嘩になり

真剣に母親が怒れば

父親は「怒っている顔が

おかしい」と笑いだす。

 

人が真剣に怒っているのに

笑いだす夫に、馬鹿にされているような

何を言っても伝わらない孤独感が増す。

 

母はこの時期の20年後にやっと

父がアスペルガーも持っていることを

知ることになる。

 

でも、この時はそれが全く分からなかったから

ただただ、うまくいかないコミュニケーションと

父の信じられない人としての振る舞いに

悩み、失望し、それでも希望を持っては

打ち砕かれるを繰り返し、

信仰心で乗り超えられない自分を責めて

孤独を深めていく。

 

そして父との関係が希薄になると

母の関心や生きがいは子どもの私に

集中してくるようになった。