口紅の変身 その2 | junのおにゃのこライフ

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女装子のお出かけブログですぅ♪

玄関で靴を履こうとした、その朝、視線の端に小さな銀色の筒が転がっていたの。

見覚えのない口紅。

キャップを外すと、澄んだ赤が朝の光を弾いたよ。
「誰のだろぅ」
特に理由もなく、ほんの出来心で唇に触れさせた瞬間、空気が柔らかく折れ曲がった。

鏡に映ったのゎ、もう“いつもの自分”でゎない。

 

 

肩まで落ちる髪ゎ、均一に揃った前髪からなだらかに流れ、艶のある栗色。

頬にゎ薄く仕込まれたチークが自然な血色を灯し、まつ毛ゎカールして影を落とす。

口紅ゎ赤と言っても強すぎず、輪郭を丁寧になぞることで、笑みの形まで整えていた。

服装ゎ、青と白のギンガムチェックのワンピース。

胸元ゎ浅いスクエアカットで、飾りボタンが縦に並び、ウエストで軽く絞られている。

生地ゎ柔らかく、身体の線に沿って落ち、座るとスカートが膝の上で静かに波打つ。

肩ゎ露出しすぎず、腕の白さが際立つ絶妙なバランスで「きちんと可愛い」という言葉に収まっていた。

 

 

 

 

身体の感覚が、少し遅れて追いついてくる。

重心が低くなったような、でも軽い。

胸の前に確かな重みがあり、呼吸に合わせてわずかに揺れる。

手首ゎ細く、指先は丸みを帯び、力を入れるときの“入れ方”が分からない。

声を出そうとすると、喉の奥で音が高くなる予感がして、思わず声にするのをためらった。

 

 

怖さゎ、最初の一拍だけ。
次に来たのゎ、不思議な静けさ。

世界がこちらをどう見るかよりも、こちらが世界にどう触れるかが変わっている。

ドアノブの冷たさがやけに繊細に伝わり、風が肌に描く輪郭が細かい。

鏡の中の私ゎ、戸惑いながらも、どこか落ち着いて立っていた。

「戻れるのかな」

口紅を拭えば元に戻るのかもしれない。

けれど、今はその答えを急ぎたくなかった。
 

 

玄関を出ると、朝の光がギンガムチェックに小さな影を作る。

足取りゎ慎重で、でも前に進む意志ははっきりしていた。

一本の口紅が、身体を変えた。
それ以上に、世界との距離を、少しだけ近づけた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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