朝の鏡ゎ正直すぎる。
洗面台の前で、しばらく動けずに佇んでた。
肩の丸み、指先の細さ、声を出す前からわかる違和感。
どう見ても、また“こちら側”。
「……一時解除、ね」
昨夜のことを思い返す。
確かに戻った。
感覚も、声も、思考の向きも。
あれゎ夢じゃない。
なのに、維持できなかった。
バッグから口紅を取り出す。
口紅ゎ今日も無言。
でもjunにゎわかる。
これゎ魔法というより、仕様書付きの道具。
キスで戻る。
でも、それゎ仮ログイン。
一定の行動をすると、自動的に元のモードに戻る。
「セーフモード解除、からの再起動……?」
IT用語が頭をよぎって、思わず苦笑する。
笑ってる場合ぢゃないのに。
問題ゎ♂モードとしての生活。
仕事、家、名前、役割。
男として積み上げてきた日常ゎ、ワンクリックで切り替えられるほど軽くない。
それでも完全に戻る条件が見えない。
恒久モードにする方法が、どこにも書かれていない。
ふと考える。
ひょっとして、jun自身がどうありたいか、も条件かも。
唇を指で押さえる。
戻らなきゃ困る。
でも、完全に否定したいわけでもない。
この状態でいると、世界ゎ少しだけやさしい。
困ることも多いけど、見える景色も変わる。
「……選ばせるタイプか」
口紅ゎ、強要しない。
ただ条件を提示して、結果だけを返す。
恒久モード。
それゎ解除の先にあるのか。
それとも、解除を手放した先にあるのか。
多分この口紅ゎ、“時間”じゃなくて“覚悟”を見ている。
次回、「恒久モードの選択肢」
↑別画面が開ききるまでちょっと待ってね。

