失意のシーズンとなった今季のバルセロナ。メッシ自身も負傷で離脱するなど、完全燃焼ではなかった
 いまやロナウジーニョ、プジョルらと並び、バルセロナの顔として脚光を浴びるリオネル・メッシ。まだ20歳になったばかりだが、クラブでもアルゼンチン代表でも欠かせない存在となりつつある。

 今シーズンのバルセロナは、宿敵レアル・マドリーにリーグ優勝をさらわれて3連覇を逃し、チャンピオンズリーグでも決勝トーナメント1回戦で早々に敗退した。失意のシーズンを終え、メッシはアルゼンチン代表の一員として、コパ・アメリカ(南米選手権)優勝に燃えている。

“マラドーナ2世”と呼ばれる若きスターが1年を振り返るとともに、フットボール選手としての変わらぬ思いを率直に語った。

■今シーズンはツキがなかっただけ

――今季のリーグ戦は散々な結果に終わったけれど……

 そうだね。今回のことはずっと後悔することになるだろう。僕らにとってみれば、優勝を失った感じだからね。でも、今となっては取り返しがつかないし、この失敗から学ぶことで、僕らは人間として成長できると思う。

――シーズン前、バルセロナは7冠を目指していた。結局、スペイン・スーパーカップとカタルーニャカップという、さほど重要でない2つのタイトルしか獲れなかったけれど、こんな結末を想像していた?

 いや、悪夢のような結果だよ。

――問題は何だったと考えている?

 優勝できなかったのだから、何かが欠けていたことは確かだ。でも、それを分析するのは監督やフロントの人たちの仕事じゃないかな。

――君自身の1年を振り返ると、順風満帆ではなかったよね。けがで戦列を離れていた時期もあったし、重要な試合に出場できないこともあった。ワールドカップ(W杯)ではドイツとの準々決勝で出場の機会を与えられなかったし、国王杯の準決勝第2戦のヘタフェ戦でも、ライカールト監督は君を温存した。どちらもチームはそこで敗退したわけだけれど、その時どんな気持ちだった?

 怒りだね。それ以外の何物でもないよ。チームのために何もできなかったし、W杯でのことは納得していない。国王杯については、みんな決勝に進むと思っていた(バルセロナは第1戦を5-2で制しながら、第2戦で0-4の敗北を喫して敗退した)。だから、ひどい結末だった……。

――エトーは会見などで、バルセロナのロッカールームの雰囲気があまりよくないと語っていたけれど、これだけスター選手が多い中でやっていくのは大変じゃないかい? 今季リーグ優勝を逃したことで、何か変えた方がいいと思うことはある?

 特に何かを変える必要はないと思う。バルセロナは3年前から多くのスターがプレーしているけれど、問題が起きたことなんてないよ。今回タイトルを獲得できなかったことで、外部からの批判は出てくるかもしれない。でも、僕らはこれまでと同じように続けていくし、今シーズンはちょっとツキがなかっただけだ。あと少しで優勝を手にするチャンスだってあったわけだからね。

■どこかへ行くつもりはまったくない

――新シーズンもバルセロナはライカールト監督で行くようだけれど、モリーニョが代わりに監督になるといううわさもある。もし、そうなったら何か反論はある? 昨シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)で、モリーニョは君が“演技”したことでデル・オルノを退場に追い込んだと主張していたよね

 反論なんてないよ。それどころか、僕は誰とも問題はないし、どんな監督であれ歓迎する。あのときだって、僕はモリーニョがいい監督だと思うと言ったんだ。確かに彼はしゃべりすぎたかもしれないけれど、あくまでフットボール上のことだし、自分のチームのために最善を尽くしたんだと思う。モリーニョに対して批判する気持ちはないよ。

――一方で、インテルのモラッティ会長が君を獲得したいと言っているけれど、バルセロナ以外のユニホームを着た自分を想像できる?

 いや、想像できないね。モラッティ会長がそう言ってくれるのは光栄だよ。偉大なクラブの会長が僕のことを好意的に見てくれているのは本当にありがたいと思う。でも、僕はバルセロナで快適な日々を過ごしている。どこかへ行くつもりはまったくないんだ。


■僕はフットボールがしたいだけ

次なるメッシの戦いの場はコパ・アメリカ。アルゼンチン代表として南米チャンピオンを目指す
――ヘタフェとの国王杯準決勝の第1戦で、君は1986年W杯でのマラドーナのゴールをほうふつとさせる5人抜きの素晴らしいゴールを決めた。その後、リーガのエスパニョル戦では“神の手ゴール”を決めているよね。母国アルゼンチンでは、多くの人々が“神の子”の後継者として君に期待していることを自覚している? ピッチに立つ時、責任を感じているのか、それとも家の近所でプレーしているような感覚でいるのかどちらだい?

 何度も言っていることだけれど、マラドーナは“オンリーワン”の存在だ。ほかの誰も彼には成り得ない。それは不可能なことなんだ。僕自身はいつでも同じ気持ちでプレーしている。自分のプレーを続けて、もっと学んで成長していきたい。僕はまだ20歳になったばかりだから、自分のプレーを楽しみたいんだ。それだけだよ。

――生まれ育ったロサリオにいた少年のころと、世界のフットボールシステムに適応してプロ選手になった今とでは、君の中で何か変化があるだろうか?

 どうだろう……。成長して、僕は多くの出来事や困難を経験した。それは人生において通るべき道だし、それらを通じて多くを学び、傷ついたこともあった。でも幸いなことに、僕にとって物事は正しい方向へ進んできたと思うし、そうして今僕はバルセロナにいるんだ。

――いまや皆が君のことを話題にし、雑誌や広告での露出も多い。自分が消費の対象になっているという恐れを抱いたことはある? 君自身はこうした現象がいつか終わればいいと思っている?

 僕にとっては、そのこと自体に意味はないよ。僕はただ、フットボールがしたいだけなんだ。今も自分が好きなことをしているし、これまでと同じように生活している。自分の外の世界については、あまり興味がないんだ。

――フットボール界でプロとしてやっていくにあたって、君にアドバイスをくれる人はいる?

 契約関係のことについては、一緒に住んでいる父さんがアドバイスしてくれる。家族はいつもそばにいてくれるし、僕もみんなを頼りにして意見を聞くようにしているよ。

――君はいつも謙虚で、周りの人をリスペクトしているよね。そのパーソナリティーで、チームやアルゼンチン代表でリーダーシップを発揮しようと思ったことは?

 どうだろう、考えたこともないな。基本的に僕の普段の性格と、スタジアムでの僕は別人だからね。いずれにしても、今は考えられないよ。

■コパ・アメリカで優勝したい

――君にとってプレーしやすいのは、FWとMFの中間のポジション? それともバルセロナで慣れているように、3トップの右サイドのポジションだろうか?

 2つは別のシステムだけれど、もしどちらか1つを選ばなければならないとしたら、僕は自由にピッチを動き回れるポジションがいい。でも、右サイドも慣れているし、うまく行っているから満足している。ただ、1つポジションを選べるとしたらMFをやるけどね。

――現在の目標は?

 近いところで言うと、今季はバルセロナでタイトルを獲ることができなかったから、コパ・アメリカで優勝したい。アルゼンチンは1993年以来、優勝から遠ざかっているからね。チャンピオンになって、それからバカンスに出掛けれられたら最高だ。

――コパ・アメリカでアルゼンチンはどこまで行くと思う?

 グループリーグ突破は問題ないと思う。とにかく勝利して、チャンピオンになりたいね。あれだけの選手がそろっていれば、アルゼンチンが優勝する可能性はかなり高いと思うよ。

――バシーレ監督は、さっき君が言ったようにピッチで自由に動けるポジションを与えるかもしれないね

 そうだといいね。とはいえ、僕はどのポジションでもこなす準備ができている。“セレステ・イ・ブランコ”(水色と白:アルゼンチン代表の愛称)のユニホームを着ることができれば、それでいいんだ。