楽曲解説 Vol.45 『色彩crossroad』 | 大友ジュンのヒトリゴト

どうも。こんにちは。

大友ジュンです。


さぁ、前回の楽曲解説 Vol.44 やっぱりStand Up!!!!!に続きまして、
本日はシングルCDの中から最後の一曲をピックアップして
"楽曲解説"として記して行ってみようかなと思います。

今回、お送りする作品はこちら↓


色彩crossroad


3DCGアニメてさプル
ED曲として書かせて頂いたこちらの楽曲。

制作を開始したのは去年の10月初旬頃だったと記憶しております。


監督である石ダテコー太郎 氏から受けた依頼内容は
今回の新シリーズはシャルムとのコラボレーションになるから
"一期一会"というテーマでバラードを書いてくれないかな?
というものでした。

僕の中である程度、心の準備はしていたものの、
やはりシリーズものの中で新曲を書くというのは
とってもプレッシャーを感じるものでして。。。

第一期での12ヶ月 、そして第二期でのそれぞれの12ヶ月 ともに
番組視聴者のみなさんにとても大事にして頂けたという印象を持っていたので、
絶対にその期待を裏切りたくない!という想いを胸に楽曲制作に取り掛かりました。


曲を作るにあたって僕が意識した最初のポイントは
メジャー調(明るい感じ)のバラードにするという事でした。

同じ人間が書いていればどうしても曲が似て来てしまう事もある…。

そういう事を避けたかったので
前作のマイナー調(暗い感じ)の12ヶ月と差別化を図るために
そこをかなり強く意識して作って行きました。

そしてもうひとつ気をつけたポイントは
音域を広くし過ぎないという事でした。

これも同様に、前作の12ヶ月が2オクターブ半くらいの音域になり、
キャストのみなさんに苦労をかけてしまったという反省点を踏まえての事です。


しかし、結局はそれが自分の首を少し絞めてしまう事にもなり…(汗)

今回はメロディを完成させるまでに3日ほどかかりましたかね。

実はサビのメロディは迷いに迷って10パターンくらい作ったのですが、
日を改めて聴く、また日を改めて聴くという事を繰り返し、
最終的に採用とするメロディを完成させたのです。


メロディの完成後は作詞へ。

監督から言われた"一期一会"というテーマのもと、
てさ部チームとシャルムチームの各登場キャラクターの
出会い変化、そして別れ、それが彼女達にもたらすものとは
一体、どんなものなのか?

そんな事を表現したくて作詞を進めて行きました。


彼女達は一人一人、真っ白な地図の上を歩いていて、
誰かと交錯するたびにお互いに新しい色がついて行きます。

そんな出会いや別れを繰り返して行く事で、
歩んで行く道の上に更にたくさんの色が積み重なって行き、
それが彼女達のこれからの人生をより一層、鮮やかなものにして行く。。。


完成させた歌詞からどこまでそれを感じ取って頂けるのかは人それぞれかもしれませんが、
僕なりに時間をかけてじっくりとじっくりと紡いで行った言葉達なので、
一人でも多くの方の心に届いてくれたら嬉しいです。


メロディと歌詞の完成後はアレンジへ。

いつものように編曲を担当してくれたのはもちろんこの方。

LiLi のキーボーディスト・Hajime君です。

この4年間、ずっとコンビでアニメ楽曲の制作をして来ているので
彼に対する信頼は絶大。

もはや僕から多くの注文を出さずとも、アコギデモを聴いただけで
僕がどうして欲しいのかを正確に汲み取り、そしてそれを音として再現してくれます。

今回も本当に瑞々しい、まるで水中にいるかのような
たっぷりの水分を感じられるバラードにしてくれました。

Hajime君、いつも本当にありがとう!m(__*)m


作詞、作曲、編曲の終了後は歌録りへ。

ボーカルレコーディングは1月下旬から
都内某スタジオにて順次、スタートして行きました。

※今回もこの時点で歌のパート分けが決まっていなかったので、
みなさんそれぞれにフルサイズを歌って頂いております。



トップバッターは園田萌舞子役を演じる上田麗奈さん。

前作のとりかえっこ に比べると今回の曲の方が少しキーが高いので
ちょっとつらそうにしている箇所もありましたが、僕が歌い方のテーマにした
"繊細さ"というものをしっかりとキープしながら最後まで歌って下さいました。

上田さんの良い所は、何よりアドバイスに対して貪欲な所。

OKテイクとNGテイクを聴き比べて
どうしてこちらがOKで、どうしてこちらがNGなのかという事を
かなり長い時間をかけて説明させて頂いたのですが、それを本当に真剣に聞くんです。

歌録り後、後はOKテイクの選定をする作業なので
上田さんはお帰りになっても良いですよ!
と声をかけても帰らない。

どれがOKテイクに採用されるのかを最後まで聞いて行くんです。

まだ21歳という若さでこれが出来る彼女。

声優アワード で新人賞を獲る所以がきっとこういう所にあるんだろうなと思いました!


お次に登場するのは鈴木結愛役を演じる西明日香さん。

これまでも何度も楽曲解説で書いて来たように、
西さんはいつでもどこでもどんな曲でもとにかくその場を楽しみながら歌って下さいます。

もちろん弾ける曲はとことん弾けて、真面目な曲はとことん真面目に。

この曲に関しても、ボーカルブースの中で彼女は
自分自身の技術と向き合いながら必死に戦って下さいました。

僕もその熱意に押され、歌のパート分けはまだこの時点では未定でしたが
一番のAメロのスタートは絶対に西で行く!と宣言し、Recを続行。

本当に柔らかく、そして繊細なテイクを頂く事が出来ました。

音域の広い西さんにはサビでも中核を担って頂いているので
そちらにも是非、耳を傾けてみて下さい!


3番手に登場するのは田中心春役を演じる大橋彩香さん。

彼女も元々、持っている歌のポテンシャルがとっても高い方なのですが、
ソロデビューを経て更に進化しておりましたね。

ストレートを得意球としていたピッチャーが変化球も覚えたと言いますか。

初めてお会いした頃に比べると歌に柔らかさが増したような気がしました。

Rec時間も10人の中で最短の1時間ちょっと。

もちろん妥協してこの時間というわけではないのですごい事なんですよね。

ここから更に更に進化して行くんだろうなと思うと
色々な意味で本当に末恐ろしい方です。。。o(^∀^;)o


4番手に登場するのは十六夜花音役を演じる大久保瑠美さん。

彼女の特徴はなんといってもニュアンスを合わせるセンスの高さ。

それってこういうバラードになればなるほどすごく難しい事でして。

その曲が求めている強さ、弱さ、優しさ、息づかい等々、
歌に表情をつけるために必要な事はたくさんあるわけですが、
それをすごく細かく考えて歌として表現して下さるんですよね。

改めて、"声の演技""歌"には共通点が多いんだという事を
大久保さんの歌から教えて頂きました。

この大久保さんの繊細さは後日、キャラソンでも存分に発揮される事になるので
そちらも是非、楽しみにしていて下さい!


5番手に登場するのは佐藤陽菜役を演じる明坂聡美さん。

2011年のgdgd妖精s でご一緒させて頂いて以来、
彼女にはこの時までに延べ13曲を歌って来て頂いております。

僕も彼女の歌の技術は分かっているつもりなので、
やはり安心してレコーディングに臨む事が出来ますね。

もちろん今回もてさ部チームの軸として考えていたので
自然と彼女に対するディレクションは厳しくなるわけですが、
それに負けじと明坂さんも食らいついて来る。

自身の頭の中でもディレクションが出来ちゃう方なので
僕がもう一回!と言う前にもう一回行かせて下さい!という言葉が返って来る。

彼女とはそういうクリエイティヴなやり取りが出来るのでとても楽しいです。

是非、今回もこの楽曲を通して
やっぱあけちゃん上手いな!とたくさんの方々に感じて頂きたいですね!


6番手に登場するのは高橋 葵役を演じる荻野可鈴さん。

彼女には前作同様、メインと下ハモの両方を担当して頂いたのですが、
聴いていてはっきり分かるくらい以前と比べて歌唱力が上がっていたんですよね。

恐らく、アイドルグループ夢みるアドレセンス としてのライヴ活動が
彼女の自力の底上げに繋がっているのでしょう。

歌録り後、可鈴ちゃん、歌上手くなったね!と声をかけると
ホントですか!?やったー!\(>∀<*)/
 もう音痴なんて言わせないぜっ!!Ψ( `▽´)Ψケケケケ♪
と喜んでおりました…(笑)

若さの持つ吸収力。

これは偉大ですよ!!


7番手に登場するのは円城寺結衣役の高森奈津美さん。

結衣というキャラクターの性質上、彼女にはサビで下ハモを担当して頂いているのですが、
Aメロ、Bメロで聴く高森さんの歌声がとっても良くてですね。

声の成分もハイ、ミドル、ローともにバランス良く出ていますし、
声量もあってビブラートやこぶし等の柔らかい歌心もすごくある。

これはメインも担当して頂かないともったいない!と思った僕は
試しに歌って頂いた落ちサビを聴いた瞬間に即採用を決定!!

これは個人的、あくまでも個人的な感想ですが、
僕は今回、ご一緒させて頂いたキャストのみなさんの中で
高森さんの歌声が一番好きです。

またいつかどこかの現場でご一緒出来る日が来るのを楽しみにしつつ、
僕も音楽業界から弾かれないように頑張りたいと思います!!p(>Д<;)q


8番手に登場するのは有栖川凛役を演じる三上枝織さん。

今回、この楽曲に関してはあまりキャラを意識しないで良いですよと伝えているのですが、
10名のキャストのみなさんの中で最もキャラを守って歌っているのが三上さんですね。

歌録りをしている最中はOKテイクを頂くという事に集中しているので
あまり他に意識が行っていないのですが、録り終えた後にパート分けのために
家で改めてテイクを何度も何度も聴いてみると…

もうとにかく三上さんの歌声がかわいくてかわいくてかわいくて!!p(>∀<*)q

それに気づいてしまって以来、
僕はどっぷり凛ちゃん推しになっております…(照)

あぁ~凛ちゃんかわいい…♪o(//0//*)o


9番手に登場するのは宇佐美陽菜役を演じる小松未可子さん。

歌録りではまず最初にマイクチェックのために
ツルッとフルコーラスを歌って頂くというのが僕のやり方なんですね。

この日も例外ではなく、モニター環境のチェックも兼ねて
小松さんにまずは一度、普段通りに歌ってみて下さいと言ってオケを流し始めました。

すると…

もうアーティスト以外の何ものでもない
とてつもなく素晴らしい歌声が聴こえて来るじゃありませんか!!!!

えっ!?マジかっ!?
 上手い上手いとは聞いてたけど…まさかここまですごいとは!?(@Д@;ノ)ノ


恐らく、小松さんはこれまで僕がお仕事をご一緒させて頂いた
キャストのみなさんの中でも断トツの歌唱力だと思います!!!!

このバージョンで録ってみたいという気持ちはありましたが、
もちろんこれを採用してしまうと小松さんが曲の中で浮き過ぎてしまうので断念。。。

アーティストモードを70%くらい減らして頂いて、
陽菜ちゃんとしてしっかりと歌って頂いたのでした。

これを機に、小松さんのアーティストとしての歌声もCDで聴いてみたいと思います!


そして歌録りの最後に登場するのは小此木友美役を演じる上坂すみれさん。

上坂さんも小松さん同様、ソロ名義でアーティスト活動をされている方で、
基本的には全くと言って良いほどNGテイクを出しません。

そのため、どのテイクも合格点なので
良い意味でOKテイクの選定に迷ってしまうんですよね!

お顔からはあまり心の内が読み取れない方でもあるのですが、
持って来ている歌詞カードを見ると歌録りのためのメモがビッシリと書いてありますし、
事前にかなり仮歌音源を聴いて練習して来て下さっているんだなという事が
歌声からもすごく伝わって来ます。

やはり、クールに見えても上坂さんの体の中には
赤くて熱いものが流れていらっしゃるんですね!



こうしてキャストのみなさんお一人お一人の命の歌声を頂き、
何時間にも及ぶ細かいミックス、そしてスタジオでの意見が真っ二つに分かれたマスタリングを経て、
てさプルED曲色彩crossroadは完成致しました!


現状、番組をご覧下さっている視聴者のみなさんの反応を見ていると、
今回は浄化EDでも浄化し切れてないんじゃねっ!?という声が多いようですね…(笑)

てさプルメンバーの豪快な汚れっぷりにはさすがに勝てなかったか…(笑)


とはいえ、この楽曲も紛れもなくてさプルの体の一部でございます!

これまでこのアニメ作品のために生み出して来た楽曲達と同様に
みなさんの愛情を注いで頂ける楽曲に育って行く事を切に願っております♪m(__*)m





という事で、お送りして参りました第45回目の楽曲解説。

これにて両A面シングルやっぱりStand Up!!!!!/色彩crossroad に収録されている
2曲の解説を無事に終える事が出来ました。

次回からは明日発売となるアルバム
てさプル!歌もの に収録されている楽曲達について
詳しく語らせて頂こうと思っておりますのでどうぞ楽しみにお待ち下さい!

それではまたその時まで♪(^∀^)ノ





『色彩crossroad』 詞・曲 / 井上純一 編曲 / Hajime(from LiLi)


(ゆあ) 真っ白な地図の上に (こはるん) 無造作に描かれた いくつもの道は
(花音) 交わる事なんてない (結衣) そう思ってた 今まで

(陽菜) 私一人で歩いてるんだと
(あおい) 知らないうちに () 明日を決めつけて (友美) シグナルに気づかずいたけど

(もぶこ) 今 《A》 一度きりの出会いが胸の奥に刻まれて
B》 お互いの地図にそっと色をつけてく
A》 たとえ一瞬だとしても 流れる時間の中で
B》 交錯する奇跡 それを”運命”と呼ぶのなら
A》 それぞれ歩んで来た二人 (ひーな) 選ばれてここにいるんだ



(もぶこ) 確かなものなんてない () 不安に思うほど怖くなるけれど
(友美) 不確かなものだからこそ (あおい) 交わしたいと願うんだね

(こはるん) 出会いがあれば 別れもあるけど
(結衣) この交差点は (花音) また次の一歩を (ゆあ) 踏み出すためのスタートだから

(ひーな) 今 《B》 廻り続ける世界であなたと出会えた事で
A》 新しい景色が目の前に広がってく
B》 思い描いた未来と少し違ったとしても
A》 導かれるべくして辿り着いたはずだから
B》 手にした いくつもの思い出 (陽菜) 鮮やかに彩られてく


A》 ほんの僅かな時間でも たった一度きりの交差でも
B》 二人だけしか描けない かけがえのない色が
A》 この道を染めてゆくから


(ひーな) 今 廻り続ける世界であなたと出会えた奇跡
(もぶこ) この胸の中に光を灯してゆく
(結衣) 思い描いた未来もきっとすぐそばにある
(陽菜) あなたとの時間が道しるべになるから

B》 一度きりの出会いは胸の奥に刻まれて
A》 光り続けてく これからもずっと ずっと
B》 長く伸びてく道は真っ直ぐではないけど
A》 きっと笑いながら歩いてゆけるはずだから
B》 それぞれに描いた未来で (友美) いつかまた出会えるように
A》 ここから新たに続いてく (こはるん) この道が輝くように



ゆあ→西さん
ひーな→明坂さん
あおい→荻野さん
こはるん→大橋さん
もぶこ→上田さん
→三上さん
花音→大久保さん
陽菜→小松さん
結衣→高森さん
友美→上坂さん

A》 西さん、上田さん、三上さん、小松さん
B》 明坂さん、大橋さん、大久保さん、上坂さん
《下ハモ》 荻野さん、高森さん




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